“すずし”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:スズシ
語句割合
34.5%
25.5%
生絹16.4%
衫衣5.5%
絹衣3.6%
清絹3.6%
白絹3.6%
1.8%
涼絹1.8%
1.8%
1.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ひとり宮のみは騒げるていも無くて、そのすずし眼色まなざしはさしもの金剛石と光を争はんやうに、用意深たしなみふかく、心様こころざまゆかしく振舞へるを、崇拝者は益々よろこびて、我等の慕ひ参らするかひはあるよ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
……もう、清いすずしいお方だと思いましたものを、……女ばかり居る処で、宿貸せなぞと、そんな事、……もう、私は気味が悪い。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「香染の単衣ひとえくれないこまやかなる生絹すずしの袴の、腰いと長く、衣の下よりひかれたるも、まだ解けながらなめり。」
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
甲冑かっちゅうを白い衫衣すずしに脱ぎかえ、蚊やり香の糸にしずかな身を巻かれてみると、あだかも血の酔いから醒めたような、むなしいものだけが心におどんでくるのだった。
うすらなる青の絹衣すずし
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
薄い樺色かばいろ乳暈にゅううんだけの、小さいけれど固く張りきった乳房ちぶさから、きめのこまかな、清絹すずしのように青みを帯びた白いなめらかな肌、まるく小さな肩や、くびれている細腰などを
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
お城の倉からは、早速三巻の七色の絹糸と、真珠のような色をした白絹すずしの布とが運ばれました。
ようか月の晩 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
錦織にしごりの判官代が、すずし一枚の若い白拍子を、横抱きにして躍り出したとたんに、瓶子へいしが仆れて土器かわらけを割った。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
すずし一枚の遊君白拍子は、悲鳴をあげて奥へ駈け込み、燭台を仆し盃盤を蹈んだ。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
黄の涼絹すずし単衣ひとえ淡紫うすむらさきをつけて扇を使っている人などは少し気品があり、女らしく思われたが、そうした人にとって氷は取り扱いにくそうに見えた。
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
これが問題になればだれが襖子をあけたかと必ず言われるであろう、あの人の着ていたのは単衣ひとえはかま涼絹すずしであったから、音がたたないで内側の人は早く気づかなかったのであろうと苦しんでいた。
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
蓊欝こんもりと木がかぶさつてるのと、桶の口を溢れる水銀の雫の様な水が、其処らの青苔やまろい石を濡らしてるのとで、如何いか日盛ひざかりでもすずしい風が立つてゐる。智恵子は不図かつを覚えた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
例えば毒殺の嫌疑を受けた十六人の女中が一室に監禁され、明日残らず拷問ごうもんするとおどされる、そうして一同新調のすずしのかたびらを着せられて幽囚の一夜を過すことになる。
西鶴と科学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)