“さつき”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:サツキ
語句割合
先刻61.5%
五月13.7%
皐月9.3%
先程4.7%
前刻4.4%
殺氣1.2%
早月0.9%
0.6%
0.6%
殺気0.6%
五月躑躅0.3%
先之0.3%
田植0.3%
佐都紀0.3%
先方0.3%
剳記0.3%
向者0.3%
最前0.3%
杜鵑花0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「少し調べ度いことがある。いや、先刻さつきから俺に話し度がつて居る人があるんだよ。人目のない所で、その人を待つて居ようと思ふ」
そして処々に一かたまりの五月さつき躑躅つつじが、真っ白、真っ赤な花をつけて、林を越して向うには、広々と群青ぐんじょう色の海の面がながめられます。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
□安田皐月さつきさんが白山はくさん前町三八に水菓子店を開業なさいました。皐月さんの愛嬌がいゝ為めか繁昌してゐます。果物もたいへん結構です。
「あの……先程さつき、若旦那様とご一緒に、自転車で戸山とやまはらを一と廻りするんだつて、出かけたやうでございます」
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
さういふ事でござんしたか。さうとは知らず、ついうつかり前刻さつきのやうなこと言ふたは、みんな私が悪かつた。堪忍して下せんせ。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
御米およね小六ころく憮然ぶぜんとしてゐる姿すがたて、それを時々とき/″\酒氣しゆきびてかへつてる、何所どこかに殺氣さつきふくんだ、しかもなにしやくさはるんだかわけわからないでゐてはなは不平ふへいらしい小六ころく比較ひかくすると
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
サユリはサツキユリの略されたもので、それは早月さつき(旧暦の五月、今日こんにちでは六月に当たる)
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
信吾も昼寝から覚めた許り、不快な夢でも見た後の様に、妙にくすんだ顔をして胡坐あぐらを掻いてゐた。富江の声や足音はさつきから耳についてゐる。が、心は智恵子のことを考へてゐた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
きつと要求は容れますけれど、さつきから散々の目にあはされて、何だか酷く心持が悪くてなりませんから、今日はこれで還して下さいまし。これは長座ちようざをいたしてお邪魔でございました。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
すると勇君の説によると、はじめ五月躑躅さつきの陰で恋人の少女と楽しく語っていた。その話なかばに、少女は何か用事ができて、学生を残したまま出ていった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「ジュリアさん。云って聞かせて下さい。貴女は四郎と日比谷公園の五月躑躅さつきの陰で会っていたのでしょう」
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「それぢやその新聞が違つてゐるのだよ。阿父さんは先之さつき病院へ見舞にお出掛だから、間も無くお帰来かへりだらう。まあ寛々ゆつくりしておいでな」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何ともないものが、惘然ぼんやり考へたり、太息ためいきいたりしてふさいでゐるものか。僕は先之さつきから唐紙からかみの外で立つて見てゐたんだよ。病気かい、心配でもあるのかい。言つてきかしたつて可いぢやないか
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
明後日から田植さつきにかかるつもりの眼のまわる忙しい日だつたが、作業は休みということになつて、母親のタミと初世の二人は、御馳走ごしらえにいそがしかつた。
押しかけ女房 (新字新仮名) / 伊藤永之介(著)
田植さつき済んだら、ゆつくり、一杯やろうな、同窓生集つて——」
押しかけ女房 (新字新仮名) / 伊藤永之介(著)
また天皇、丸邇わに佐都紀さつきの臣が女、袁杼をど比賣をよばひに、春日にいでましし時、媛女をとめ、道に逢ひて、すなはち幸行いでましを見て、岡邊をかびに逃げ隱りき。かれ御歌よみしたまへる、その御歌
うちもん這入はいると、玄関に誠太郎のらしいくつが叮嚀にならべてあつた。門野かどのいたら、へえ左様さうです、先方さつきからつて御出おいでですといふこたへであつた。代助はすぐ書斎へた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
己は隠居してから心を著述にもつぱらにして、古本大学刮目こほんだいがくくわつもく洗心洞剳記せんしんどうさつき、同附録抄ふろくせう儒門空虚聚語じゆもんくうきよしゆうご孝経彙註かうきやうゐちゆうの刻本が次第に完成し、剳記さつきを富士山の石室せきしつざうし、又足代権太夫弘訓あじろごんたいふひろのりすゝめによつて、宮崎
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ともしや後悔しておいでなんぢやなからうかと思ふと、私だつて好い気持はしないもんだから、つい向者さつきはあんなに言過ぎて、私は誠に済みませんでした。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
どうだ、最前さつきの演説はうまかつたらう。と大分得意である。大賛成だが一ヶ所気に入らないと抗議を申し込んだら、どこが不賛成だと聞いた。
坊っちやん (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
研究所の中庭の、杜鵑花さつきの咲いているコンクリートの池を廻って、すたすたと自分の室に帰って行った。
宇宙爆撃 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)