“かんざし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
78.7%
13.8%
2.8%
挿頭0.6%
0.6%
銀釵0.6%
頭挿0.3%
簪揷0.3%
花簪児0.3%
掻頭0.3%
簪叉0.3%
花簪0.3%
花釵0.3%
頭插0.3%
鳳簪0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
故老の話では四五十年前にも一度あったが、その時は女たちがかんざしに小さな短冊たんざくをつけて、魔よけにしたと云って、その歌を引いてある。
簪につけた短冊 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
興哥はそこへ歩いて往った。黄金のかんざしが落ちていた。しゃがんで拾って空の明るみに透して見ると、鳳凰の形にこしらえた物であった。
金鳳釵記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
水野越前えちぜん勤倹御趣意きんけんごしゅいのときも、鼈甲べっこうかんざしをさしていて、外出するときは白紙かみを巻いて平気で歩いたが、連合つれあい卯兵衛が代っておとがめをうけたのだ。
今度このたびはいうべき事もかねて用意して、じれッたそうに挿頭かんざしで髪をきながら、漸くのおもい間隙すきを見附け、「公債は今幾何いくらなの?」とくちばしさんでみれば、さて我ながら唐突千万! 無理では無いが
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
平生も眉間みけんかんざしをさげているので、気をつけてみると眉間に傷痕きずあとがあります、聞きますと、三つの歳に乳母うばに抱かれて市中を歩いていて、狂賊に刺されたといいますから、乳母の容貌を聞きますと
手品てづまの太鼓を杯洗で鐵がたゝけば、清吉はお房が傍に寐転んで銀釵かんざしにお前其様そのよに酢ばかり飲んでを稽古する馬鹿騒ぎの中で、一了簡あり顔の政が木遣を丸めたやうな声しながら
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
彼奴め頭の傷を説明する事が出来んで頭挿かんざしで突たなどとくるしがりやがるぞ此方は一目見た時からチャアンと見抜てある所持品の無い訳も分って居るは
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
医者は槌で叩いたと云いますし、谷間田は其前に頭挿かんざしでゞも突ただろうかと怪んで居ますが両方とも間違いです、何よりさきに丸く凹込めりこんで居る所に眼をとめねば成ません
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
かたわらにある机を持って来て、其の上に乗って、欄間の障子の穴から覗こうと思ったが、障子に破れた穴もないので覗けないから、して居た銀脚ぎんあし簪揷かんざし
扮装なりは黒縮緬に変り裏の附きましたのに帯はございませんで、薄紅色ときいろのしごきを幾重にも巻附けまして、丸髷は根が抜けてがっくりと横になって、びんの髪も乱れて櫛簪揷かんざしも抜けて居てありませんで
花粉おしろい花簪児かんざしを売っている化粧品店がそのちかくにあった。そこには一人の老婆がいて店頭みせさきに腰をかけていた。世高はそこへ入って往った。
断橋奇聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
老婆の施十娘は、文世高からもらった銀子をしまい、午飯をって、新しくできた花粉おしろいと珍しい花簪児かんざしを持って劉家へ往った。
断橋奇聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
まずネ、お下着が格子縞の黄八丈きはちじょうで、お上着はパッとした宜引縞いいしまの糸織で、おぐし何時いつものイボジリ捲きでしたがネ、お掻頭かんざし此間こないだ出雲屋いずもやからお取んなすったこんな
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そして、立ち際に財布を調べて、荷箱をも開けて見たが、財布の中の金に異状はなかつたが、荷物の中の、くし簪叉かんざしはすつかりさらはれて、空つぽになつてゐた。——
(旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
その上に飛ぶ金銀の蝶々を花簪かんざしに使う針金で浮かしてヒラヒラと動くようにして帯の唐草模様を絵刳えくみにした、錦絵とも舞台面ともまるで違った眼もまばゆい美しさの中に、阿古屋の似顔が
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
暮山ぼざんの雲をながむれば、君が花釵かんざしかと心も憂く、閑窓かんそうの月にうそぶけば、玉顔ぎょくがんわれに笑み給うかと迷うも浅まし。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
頭插かんざしにお插しなさい。お前たち。
細腰さいようは風にめぐり、鳳簪かんざしは月光にかがやき、しばらくは、仲秋の天地、虫の音までが彼女の舞にその鳴りをひそめてしまった風情ふぜいだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)