“かや”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カヤ
語句割合
蚊帳48.1%
16.0%
15.0%
9.8%
蚊遣4.2%
蚊屋1.5%
蚊幮0.5%
茅萱0.5%
萱草0.5%
0.5%
蚊㡡0.3%
0.3%
0.3%
賀陽0.3%
0.2%
0.2%
可也0.2%
河陽0.2%
0.2%
0.2%
葺草0.2%
蚊帖0.2%
蚊帷0.2%
蚊張0.2%
蚊野0.2%
賀夜0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
日常、礼儀作法のやかましいお方が、いかにお従兄弟いとこの仲とはいえ、蚊帳かやの中にはいって、しきりと、密談遊ばしているのだった。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小房は恥しいほど胸がふるえるのを感じながら、辰之助の好きな白菊の一輪をかやの中に活けた。柱懸けの一節切ひとよぎりにはあけびのつるした。
(新字新仮名) / 山本周五郎(著)
黒船町くろふねちょうへ来ると、町が少し下って二の町となる。村田の本家(烟管屋キセルや)がある。また、榧寺かやでらという寺がある。境内にかやが植わっていた。
銀杏いちょうかやの数を隠して、相手に当てさせるにも同じ言葉を唱え、または手を組み、輪になって、中央に一人の児をしゃがませ
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
庭の芝生へ毛氈もうせんを敷き、月見の飾り物を前に酒肴しゅこうぜんを置いた。雪洞ぼんぼりをその左右に、蚊遣かやりをかせ、正四郎もふさも浴衣にくつろいで坐った。
その木戸を通って (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その晩、岸本はまだ旅から帰りたての客のような形で、兄の義雄と同じ蚊屋かやの内に寝た。高輪たかなわにあるこの新開の町ではもう一月も前から蚊屋をるという。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
かくの如くに反覆して雷火におびやされたので、抽斎は雷声をにくむに至ったのであろう。雷が鳴り出すと、蚊幮かやうちに坐して酒を呼ぶことにしていたそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
築山陰つきやまかげ野路のぢを写せるこみちを行けば、蹈処無ふみどころなく地をくずの乱れひて、草藤くさふぢ金線草みづひき紫茉莉おしろいの色々、茅萱かや穂薄ほすすき露滋つゆしげ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
両側百戸足らずの家並いへなみの、十が九までは古い茅葺勝かやぶきがちで、屋根の上には百合や萱草かやや桔梗が生えた、昔の道中記にある渋民の宿場の跡がこれで、村人はたゞ町と呼んでゐる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そこで上りかまちに腰をかけて懐中ふっくらからその貰うた指環をば出いて、てのひら中央まんなかへ乗せて、タメツ、スガメツ引っくりかやいておりますと、背後うしろからヌキ足さし足、覗いて見た親父おやじ
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
すべてを片づけてから、夜の十時過になって、始めて蚊㡡かやの外まで来て、一言ひとこと見舞を云うのが常であった。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
(信定のこと主人の話なり。寺は余ゆいて見る。)此地蚊なし。かやを設ず。暑亦不甚はなはだしからず。行程六里許。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
東京芝白金の近郊ちかく谷峡たにが三つ寄つた所がある。そこは、あちらもこちらも滴る許りの緑翠みどりで飾られて居るので唯谷間の湿つぽい去年の稲の株がまだかやされて居ない田圃だけに緑がない。
退出するとき、両人とも宿所がない旨奏上すると、すぐさま宿所が与えられた。義仲は大膳大夫成忠だいぜんのたいふなりただの宿所の六条の西洞院にしのとういん、行家は法住寺殿の南殿みなみどのと呼ばれた賀陽かやの御所であった。
早「ねぶったかね/\、お客さん眠ったかえ……居ねえか……約束だから来ただ、かやの中へひえってもいかえひえるよ、入っても宜いかえ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
早四郎は障子を開けたなと思っていますと、ぷつり/\と、吊ってありましたかや吊手つりてを切落し、寝ている上へフワリと乗ったようだから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
吾背子わがせこ仮廬かりほつくらすかやなくば小松こまつしたかやらさね 〔巻一・一一〕 中皇命
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
岡に寄せ我が刈るかや狭萎草さねがやのまことなごやろとへなかも (同・三四九九)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
新羅しらぎに遣はさるる使人等の一行は、ここ志賀の浦波に照りかへす月光を看て、遠くも来にける懐郷の涙をしぼり、志摩郡の唐泊からどまりより引津泊ひくつどまりに移り、可也かやの山べに小男鹿さをしかの声の呦々えう/\たるを聴き
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
古くは、河陽かやの離宮やら江口神崎におとらぬ灯やら、関所もあった跡だという。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「幸ひ、池の端かや町の江島屋良助の伜良太郎が、フトした折にお關を見染めた」
森松「やアこれは/\何方どなたかと思ったら藤原様、どうも大層お立派で……おかや様も御一緒ですかうおいでゝございます」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ここにすなはちその海邊の波限なぎさに、鵜の羽を葺草かやにして、産殿うぶやを造りき。ここにその産殿うぶや、いまだ葺き合へねば、御腹のきにへざりければ、産殿に入りましき。
夏は葭戸でもこしらえ、新しいきれいな蚊帖かやでもあげようと思います。そして秋またゆきましょう。これは親愛な笑話ですがよくよく覚えていらして下さい。
和漢の古書のみを研究して西洋日新の学を顧みず、いにしえを信じて疑わざりし者は、過ぎたる夏の景気を忘れずして冬の差入りに蚊帷かやを買い込むがごとし。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
彼は眼を開けて時々蚊張かやの外に置いてある洋燈ランプを眺めた。夜中に燐寸マッチを擦って烟草たばこを吹かした。寐返ねがえりを何遍も打った。もとより寐苦しい程暑い晩ではなかった。雨が又ざあざあと降った。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
次にヲザホの王は葛野かずのの別・近つ淡海の蚊野かやの別の祖先です。次にムロビコの王は若狹の耳の別の祖先です。
吉備きびくに賀夜かやこおり庭妹にいせさとに、井沢庄太夫という人がいた。