“かけら”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
破片50.8%
欠片16.1%
6.8%
砕片5.9%
断片5.1%
缺片4.2%
斷片2.5%
1.7%
1.7%
0.8%
塊片0.8%
小片0.8%
屑片0.8%
擢片0.8%
片々0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかし、何んといろいろな精神の破片かけらを自分は袋へ入れて来たものだろう。これから日本へ帰ってゆっくり一つ一つずつ検べるのだ。——
旅愁 (新字新仮名) / 横光利一(著)
またパンの欠片かけら蜜柑みかんの皮といった食物まで運ばれていた——など、何が何やら、彼にとって薩張さっぱり訳の判らないことであった。
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
が、僅に残つてゐる良心どころか良心らしいものは、かけらさへ残つてゐない。女らしい、つゝましい心の代りに、そこに翼を拡げてゐるものは、恐ろしい吸血鬼ヴァンパイヤである。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
勿論もちろんかれ仲間なかまだけがことにさうだとはへなかつた。見渡みわたしたところ、人間にんげんみんひとつ/\の不完全ふくわんぜん砕片かけらであるのに、不思議ふしぎはないはずであつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「坊ちゃん、こんな断片かけらばかりですけれど、これでも東京へ持って帰ってその道の人に見せるとよだれを流しますよ。『お土産に瓦』は洒落ているでしょう? 舌切雀だ。重いですよ」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
だが、僕は、君があの証人と何か話合っている間に、あの芝草の中から、こいつを、このレコードの缺片かけらを、拾い上げたんさ。
花束の虫 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
伽羅や沈香は、こちとらの家にある品ぢやない——ところで、鑄掛屋いかけやの權次は空地のどの邊に店を張つて仕事をして居るんだ。大體場所がきまつて居るだらう、炭の斷片かけらか、鐵屑かなくづがある筈だ。
にくさげな、高慢かうまんな、ひと馬鹿ばかにしたかたちうだい、總別そうべつはない畜生ちくしやうだ、とこゝろから、石段いしだんれたかけらひろつて、ぞくにねことふ、川楊かはやぎがくれに、ぢつねらつて、ひしりとげる
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つゞいて一人ひとり美少年びせうねん何處いづこよりちたりけん、華嚴けごんたきそこけて、いはかけら藻屑もくづとともに、くもよりちつとおぼしきが、たすけをぶか諸手もろてげて、眞俯向まうつむけにながしが、あはよくいはとゞまりて
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
せめては此の室の中で窓の隙から日の光の差す辺へでも坐らせて置き度いと思い、手を取って引くと、オヤ其の手に麺麭ぱんかけらを持って居る。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
顔形は極もろい蝋の細工ゆえ、早や床の上で粉微塵に砕けて了った、余は猶も飽き足らず先生の手を振り払って顔形のかけらを粉々に踏み砕いた、先生は呆気に取られ、呆然と見て居たが
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
藁灰わらばいを入れた桶だの、そのほかはかりとか、刃物とか、硫黄いおう塊片かけらとか、なにしろ眼にあまるほど散らかっている。
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ホ、ホ、ホ、ホ、と笑ったはずみに、手にかかえていた包の中から一枚の小皿が落ちて砕け、お蝶の足元へ玉虫色の小片かけらを散らしました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
切石の屑片かけらが川の底に転って居てお浦は運悪く其の角を踏んで辷ったのだ、何でも足の裏を一寸ほども切った、其の傷が生長してまで残って居たのみか、足が育つと共に創の痕も育ち
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
沖の波に似た白雲の片々かけらが風に流れて、紺深く澄み入つた空の片辺に、まつたく忘れられたものゝやうに懸つてゐる。
岬の端 (新字旧仮名) / 若山牧水(著)