“かか”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カカ
語句割合
18.1%
15.9%
13.1%
8.7%
6.8%
4.9%
3.9%
2.7%
2.4%
2.4%
呵々2.2%
2.1%
2.0%
1.4%
1.3%
1.2%
1.2%
1.0%
0.8%
0.6%
0.5%
0.5%
媽々0.4%
0.4%
0.4%
0.3%
0.3%
0.3%
0.2%
0.2%
0.1%
0.1%
花下0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
女房0.1%
0.1%
荷花0.1%
賈華0.1%
依怙0.1%
0.1%
召抱0.1%
0.1%
0.1%
媽媽0.1%
0.1%
嬶々0.1%
家花0.1%
寄食0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
碇泊0.1%
禾稼0.1%
禾花0.1%
窠下0.1%
継母0.1%
繋留0.1%
0.1%
華化0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
鍵掛0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この年は初めて悪性の世界的流行感冒が流行はやった秋のことで、自分もその風邪かぜかかったが、幸いにして四、五日の軽い風邪で済んだ。
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
吉原江戸町三丁目佐野槌屋のかかえ遊女まゆずみ、美貌無双孝心篤く、父母の年忌に廓中そのほか出入りの者まで行平鍋ゆきひらなべを一つずつ施したり
それでも箱の中が気にかかって、そわそわして手も震い、動悸どうきの躍るのを忘れるばかり、写真でおさえて、一生懸命になってふたを開けた。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
年は二十はたちを多くは出ていなかったゞろう。が、そうした若い美しさにもかかわらず、人を圧するような威厳が、何処どこかに備わっていた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
下僕しもべは「それでもいうたら大変に怒られるから仕様しようがない。」「そんならこの儘打棄うっちゃって置いてもよいか。一月かかってもよいのか。」
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
番をしていないからとて、めったに、いなくなることもあるまいと、常に心にはかかりながら、いて安心して、せめて同じ土地の
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
北嶺ほくれいより入山あって、釈迦堂しゃかどう行在所あんざいしょにあてられ、即刻、みことのりを発せられたうえ、坊舎の上に高々と、錦の御旗をおかかげでおざった
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二百八間の大橋がかかっていたものとみえるが、その年、天文二十一年の夏の頃には、まだまだこの地は、乱世乱麻の合戦の真ッただ中。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かかる重大のことを惹き起せしも、遠因は、「ひよつとこ鈎」に在りと想へば早く歯科医に見せざりし、鯰の口中こそ重ね重ねの恨みなれ。
釣好隠居の懺悔 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
彼が在職の日たる、外交上の一大過渡の一大時機たりしにかかわらず、彼は事実においては、外交の上について多くの関渉かんしょうを有せざりき。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
然るにM男爵閣下には小生のかような窮状を見て呵々かか大笑されました。そうして小生の旅行免状を返却されながら次の如く訓戒をされました。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
葬式はかかアにたぬうで来た。もう死んどろ、死んどるかも知れん。わしはこの胸ん中が張り裂きゅごたる。先生、えたっちゃよかろ。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
「旦那、御心配なせえますな。𤢖なんて云うものは、意気地のねえ奴ですから、もうかかって来る気配きづかいありませんよ。はははは。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
買いものの好きなお銀は、出たついでにいろいろなものをこまごまとかかえて、別の通りからえした顔をして家へ帰って来ていた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
私は今挙げたような造営物の維持を助けている——それだけでも随分かかりますよ。暮しの立たない者はそこへ行くが可いのさ。
「こけめ、その手をくふものか、ここでは死ぬまでゐてやる、おととかかの家にゐるのに何遠慮がいるもんか、や、なこつた。」
(旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
その犯罪手段や探偵方針のハイカラかハイカラでないかにかかっているものでない事は、一八〇〇年時代の探偵記録や裁判聞書ききがき
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
日常身辺の事一として話の種ならざるはなし。然れども長屋のかか金棒かなぼう引くは聞くにへず識者が茶話さわにはおのづと聞いて身のいましめとなるもの多し。
小説作法 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
かかる田舎の習慣ならはしで、若い男は、忍んで行く女の数の多いのを誇りにし、娘共も亦、口に出していふ事は無いけれ共、通つて来る男の多きを喜ぶ。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
その中に三体詩の零本があったから、枕頭の灯をかかげて、『行尽江南数十程、暁風残月入華清』などという詩を繰返し繰返し読んでいる中につい夢地に入った。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
かかえしまま、床上に片膝をつきて眠る。領主は傍の寝台の上に仆れて眠る。使女や童はいつしか退場、従者は壁によりかかりて眠る
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
外へ出ると、そこらの庭の木立ちに、夕靄ゆうもやかかっていた。お作は新坂をトボトボと小石川の方へ降りて行った。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
え、千ちゃん、まあ何でもいから、お前様ひとつ何とかいって、内の御新造様を返して下さい。裏店うらだな媽々かかが飛出したって、お附合五六軒は、おや、とばかりで騒ぐわねえ。
清心庵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けれどこの頃にはもはや一人減り、二人減りして、毎日かかさずに来る子供は僅かに一人しかなかった。その子供はこの町の、貧しき家の子であった。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
新聞に在る通だけれど、不具かたはになるやうな事も無いさうだが、全然すつかりくなるには三月みつきぐらゐはどんな事をしてもかかるといふ話だよ。誠に気の毒な、それで、阿父おとつさんも大抵な心配ぢやないの。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
計略が露顕ろけんしたのは、あなたのせゐぢやありませんよ。あなたは私と約束した通り、アグニの神のかかつた真似を
アグニの神 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
信吾は心に、ういふ連想からか、かの「恋ざめ」にかかれてある事実こと——いなあれを書く時の作者の心持、否、あれを読んだ時の信吾自身の心持を思出してゐた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
左右のはかまもすそを、高くかかげていた武蔵は、そのはずみに、海水の中へ、軽く跳び下りていた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
準平は平素県令国貞廉平くにさだれんぺいの施設にあきたらなかったが、宴たけなわなる時、国貞の前に進んでさかずきを献じ、さて「おさかなは」と呼びつつ、国貞にそむいて立ち、かかげてしりあらわしたそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
魯達もあわててを合せる。——見れば長老の上人は、払子ほっすを払って、やおら禅椅ぜんいかかった様子。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「実はその、何です。この一月ばかり病気をやってな、それで家内が連れて此家ここへ来ているですて。いや千々岩さん、かかだの子だの滅多に持つもんじゃないね。金もうけは独身に限るよ。はッははは」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
女世帯の絵草紙屋を棄てて、華族のむすめかかにしたというので、ひどくこの深川ッに軽蔑されるよ。はははは
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
みどりの枝を通す夕日を背に、暮れんとする晩春の蒼黒く巌頭をいろどる中に、楚然そぜんとして織り出されたる女の顔は、——花下かかに余を驚かし、まぼろしに余を驚ろかし、振袖ふりそでに余を驚かし
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と雑所は、しっかと腕組をして、椅子のかかりに、背中を摺着すりつけるばかり、びたりと構えて
朱日記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「どうしました、大分落胆の気味だね、新情婦しんいろも出来ませんか。」と源次郎は三味線のかかった柱にもたれて澄ましている。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かろ首肯うけがう。老人はひげかかげて笑う。兄さんは知らぬ顔をしている。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すでに爾も知る如く、年頃われ曹彼の金眸をあだと狙ひ。機会おりもあらば討入りて、かれが髭首かかんと思へと。怎麼にせん他が棲む山、みちけんにして案内知りがたく。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
昔天をかかげていたアトラスの神のように、6405
麹町の方へしずかにその乗物をかかせて行った。
番町皿屋敷 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この場を去らず刺殺さしころさまほしう、心はをどかかり、躍り襲らんと為るなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
十兵衛がのっそりで浮世の怜悧りこうな人たちの物笑いになってしまえばそれで済むのじゃ、連れ添う女房かかにまでも内々活用はたらきの利かぬ夫じゃとかこたれながら
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
情ないこのおれはよと、羨ましいがつい高じて女房かかにも口きかず泣きながら寝ましたその夜のこと、五重塔をきさま作れ今すぐつくれとおそろしい人にいいつけられ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それは只今言った通り蛇の腹の多数の麟板の後端が格子の木の外面にある些細な凸起にかかり着いて、ぬけがらを損せずに尾を持って引き出し得ぬと判り
それから蜥蜴の腹をさかさに撫でるに滑らかなれど、蛇の腹を逆撫ですると鱗の下端が指にかかる。また無脚蜥蜴は蛇の速やかに走るに似ず行歩甚だ鈍い。
枕山雲如の二人は一日黎明れいめい不忍池しのばずのいけ荷花かかんことを約し、遅く来たものは罰として酒をう責を負うこととした。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その後明治四十四年の秋に至って、わたくしはここに森鴎外先生と相会してとも荷花かかたことを忘れ得ない。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
なにも、それならそれで、よろしいではありませんか。そっと、大将賈華かかへお命じなさい。甘露寺の回廊の陰に、屈強な力者りきしゃや剣客の輩を
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
賈華かかかもしれません」と、云いのがれた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
子供を沢山っていた彼の父は、ごうも健三に依怙かかる気がなかった。今に世話になろうという下心のないのに、金を掛けるのは一銭でも惜しかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
婦人は普通の俗字だも知るはまれにて漢字からもじ雅言がげんを知らず仮名使てにをはだにもわきまへずへんつくりすらこころ得ざるに、ただ言語ことばをのみもて教へてかかするわが苦心はいふべうもあらず。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
その兄弟のために召抱かかえ入れた乳母うばが、ある時
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
第三に尋常のものと違って、まがいの西洋館らしく、一面に仮漆ニスかかっていた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「今夜あ一つ、引っ越し酒といきましょうや。小二のかかとおふくろは、金を持たせて、これも遠くへ隠してしまいましたから、こちはもう、足手まといも何もありません」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
村の男 先生と張公の媽媽かかじゃ、辛抱がええわえ。今年でもう六年じゃ、毎日毎日、あの坂の上で、張公の帰りを待ってるが、なんぼ待ったところで、水に溺れて死んだ者が戻るもんか。
平面か斜面になっているのにこの雪田はほとんど立体になって、狭い代りに厚味がある、北風で崖へ崖へと吹き寄せられかかって尖立したまま、凝って雪山となったのであろう、月影を浴び
奥常念岳の絶巓に立つ記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
御身おみたちもよく覚えて、お社近やしろぢか村里むらざとの、嫁、嬶々かか、娘の見せしめにもし、かつはこおりへも町へも触れい。布気田ふげた
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
このように、一かぶ上に雄花ゆうか雌花しかとを持っている植物を、植物学上では一家花かか植物と呼んでいる。すなわち雌雄同株しゆうどうしゅ植物である。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
お庄は母親と、また湯島の下宿に寄食かかっていた。正雄は、横浜から来るとじきに築地の方にいる母方の叔父の家に引き取られるし、妹は田舎で開業した菊太郎の方へ連れられて行った。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そうしてそれからうちあたたか閑静かんせい書斎しょさいかえって……名医めいいかかって頭痛ずつう療治りょうじでもしてらったら、ひさしいあいだわたくしはもうこの人間にんげんらしい生活せいかつをしないが、それにしてもここはじつにいやなところだ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
動物は、猿、山羊、モルモット、白ねずみ、兎——特殊なものとしては、鼠癩にかかつた白ねずみが、三匹、特別の箱に這入つてゐた。
間木老人 (新字旧仮名) / 北条民雄(著)
君子の事にかからひてよりは、忘るるともなく忘れゐしなれど、もとよりこれもいな舟の、いなにはあらず思へるにて、捨小舟としたる心にもあらず。
当世二人娘 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
その請に応じて、山嶽、大巌を抜き、自分の身上にあるだけの無数の石をかかげて幾回となく海浜に積み、ついに大陸と島地の間にけ渡した。
露ふくめる朝顔の鉢二つ三つ軒下に持出でて眼の醒むるばかりに咲揃いたる紅白瑠璃るりの花をうつつともなく見入れるさま、画にかかばやと思う図なり。
銀座の朝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
経世家的儒者中井竹山が山崎派を排斥して、竹内式部の事例に及び「『靖献遺言』を主張し、ひじかかげて横議おうぎし、目前の大害を引出し候」と掊撃ほうげきしたるを見れば
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
船は門司もじかかる。小春の海は浪おどろかず、風も寒くない。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しとしという尋常らしい跫音あしおとが、今はびちゃびちゃと聞えて来た。水ならかかとまでかかろう深さ、そうして小刻こきざみはやくなったが、水田みずた蹈込ふみこんで渡るのをあぜから聞く位の響き。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しおあがったら、まっとかかるべい。)
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そしてそれから数十年の後、それらの老優たちの名が、たしか昭和十七、八年頃かと思うが、本所の寿ことぶき座にかかっていたようであった。何かでそれを知って、なつかしく思った事であった。
なお彼の眼と手とは動いて、そこにあったズックの布を引裂きにかかったが、ついに及ばず、そのズックの布をかかえたままその場にどっと転がった。
空中漂流一週間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その日の夕方も、まだ日の高いうちに、野崎島をめぐって神之浦こうのうらへ切れ込むと、そこへ山のような和蘭陀オランダ船が一艘碇泊かかって、風待ちをしているのが眼に付いた。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
けだ禾稼かかを見るに、春種し夏苗し秋刈り冬蔵す。秋冬に至れば人みなその歳功の成るを悦び、酒を造りれいつくり、村野歓声あり。いまかつて西成に臨みて、歳功の終るを哀しむものを聞かず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
その第三件は禾花かか媒助の法をもって、去年九月十三日、東京第二大区十二小区麻布古川の稲田において実地にほどこし、十一月十三日収穫いたし、その稲と通例成熟の稲とを比較いたしたところが
禾花媒助法之説 (新字新仮名) / 津田仙(著)
在来の雌雀老いて痛き目を見るを悲しんで烏の窠下かかにおり雨降るに気付かず、烏の窠中に色々に染めた布片あり、雨に溶けて老雀に滴り燦爛さんらんたる五采孔雀のごとしと来た
「挨拶、ふん、挨拶、あの横柄おうへい継母かかが、ふんちっとばかい土産みやげを持っての、言い訳ばかいの挨拶じゃ。加藤のうちから二三度、来は来たがの——」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
チャイナ号の向い合わせに繋留かかっていたアラスカ丸の船長……貴下あなた発見みつけて拾い上げた……チャイナ号へ面当つらあてみたいに小僧の頭をでて、慰め慰め拾い上げて行った……という話なんです。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
楚の昭王は、陳を援けるために兵を城父じょうふに進めていたが、その時、孔子の一行が、陳・蔡の国境にいることを知った。で、すぐ使をやって彼を楚にかかえようとした。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
なるほど若年のころははなやかなるはいうまでもないが、頭の白きも、ひたいの波も、華化かかすることはできぬであろうか。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
此の指圖さしづめいたことをされたのが、また氣にかかツて、甚だ自分の尊嚴を傷つけられたやうに思ふ。でも直に思ひ復へして
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
葉子は口笛を吹きながら、しまセルの単衣ひとえすそかかげて上がって行くと、幼い時分から遊びれた浜をわが物顔にずんずん歩いた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
鮎をけてゐるのであらう、編笠を冠つた背の高い男が、腰まで水につかつて頻りに竿を動かしてゐる。種鮎たねあゆか、それともかかつたのか、ヒラリと銀色のうろこが波間に躍つた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「ヘエ。それは貴方……それならこのうちの裏からお這入りなさいまっせえ。表の戸口は鍵掛かかってはおりまっせんばってん、裏口の方からは眼立ちまっせんけに……どうぞ……」
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
手で叩く真似をすると、えへへ、と権ちゃんの引込ひっこんだ工合ぐあいが、いんは結ばないが、姉さんの妖術ようじゅつかかったようであった。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白日 青天にかかる。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)