“えんぜん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
嫣然51.6%
宛然26.3%
婉然9.5%
艶然8.4%
奄然2.1%
婉嬋1.1%
焉然1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
するとその女が、——どうしたと思う? 僕の顔をちらりと見るなり、正に嫣然えんぜん一笑いっしょうしたんだ。おやと思ったがに合わない。
一夕話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
当時江戸に集っていた列藩の留守居は、宛然えんぜんたるコオル・ヂプロマチックをかたちづくっていて、その生活はすこぶる特色のあるものであった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
婉然えんぜんと笑つてゐる花もある。それが一々みんな、自分の知つてゐる女たちの、色んな瞬間における容姿なり表情なりであることに、大海人は気がつく。
鸚鵡:『白鳳』第二部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
艶然えんぜんとして微笑みながら、舞衣姿まいすがたのまま酌をしようとするお春を後目しりめにかけて、呉羽之介は不機嫌に、震える声で言うのでした。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
いわく、丁晋公臨終前半月、すでくらはず、ただ香をいて危坐きざし、黙して仏経をじゆす、沈香の煎湯せんたうを以て時々じゞ少許せうきよあふる、神識乱れず、衣冠を正し、奄然えんぜんとして化し去ると。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
たいした貴族の娘ではないらしかったが婉嬋えんぜんとした美貌びぼうの人であったと、好色な方であったから、それきり消えるようにいなくなってしまったことを残念でたまらぬように思召おぼしめしては
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
色の黒いやつが笑ったんだから、まるで炭団たどんが転んで崩れたよう——喬之助の焉然えんぜんに対して、壁辰のは——さア、何というのか。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)