“うれ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ウレ
語句割合
54.7%
12.9%
12.2%
6.1%
5.4%
2.9%
1.4%
0.7%
0.5%
0.3%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.1%
0.1%
0.1%
患苦0.1%
0.1%
愁歎0.1%
0.1%
末枝0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
爛熟0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ゆきなか紅鯛べにだひ綺麗きれいなり。のお買初かひぞめの、ゆき眞夜中まよなか、うつくしきに、新版しんぱん繪草紙ゑざうしはゝつてもらひしうれしさ、わすがたし。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これをおきになった、おうさまは、ふかうれいにしずまれました。いつしかかがりえて、管弦かんげんんでしまったのでございます。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わがとこは我を慰め、休息やすらいはわがうれいを和らげんと、我思いおる時に、汝は夢をもて我を驚かし、異象まぼろしをもて我をおそれしめたまう。……
文化十年には蘭軒が正月に頭風づふううれへたことが勤向覚書に見えてゐる。「正月十日私儀頭風相煩候に付、引込保養仕候段御達申上候」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
うれし泣きに嗚咽おえつするお珠の顔を、むごいような力でいきなり抱きしめると、安太郎は、彼女の唇に情熱のほとばしるままに甘い窒息ちっそくを与えた。
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
木挽町主人がうれしそうに「三十六、もう玄米を喰べなくとも宜いとさ」と云われた。本当に悦しそうだった。皆喜んで呉れていた。
萠えいでてやはき木の芽の或るうれは白うかがやけり花かともあはれ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
ウレシという語も、「何すとか君をいとはむ秋萩のその初花のうれしきものを」(同・二二七三)などの用法と殆ど同じである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
うれしくもまうでつるよ、と聞ゆるに、新院のれいなることをしりて、地にぬかづき涙を流していふ。さりとていかに迷はせ給ふや。
忠孝仁愛の心より鰥寡かんくわ孤獨をあはれみ、人の罪に陷るをうれひ給ひしは深けれ共、實地手の屆きたる今の西洋の如く有しにや、書籍の上には見え渡らず、實に文明ぢやと感ずる也。
遺訓 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
「マルヒユスですか。目の光る、日に焼けた、髪の黒い男ぢやありませんか。」名を聞いて耳をそばだてたフロルスは、うれしげな声でかう云つた。
もっとかつてじゃらくらが高じてどやぐやと成ッた時、今までうれしそうに笑ッていた文三が俄かに両眼を閉じて静まり返えり何と言ッても口をきかぬので
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
わが背子せこと二人見ませば幾許いくばくかこのる雪のうれしからまし
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
この歌と一しょに、「うちなびく春立ちぬらし吾が門の柳のうれに鶯鳴きつ」(巻十・一八一九)があるが、平凡で取れない。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「恐入りましたね。うれはそれでなくっちゃいけません。」
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ばあさんに聞いてみると、すこぶる水気の多い、うまい蜜柑だそうだ。今にうれたら、たんとし上がれと云ったから、毎日少しずつ食ってやろう。もう三週間もしたら、充分じゅうぶん食えるだろう。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今はやつうれえも見えずなったゆえ、一日も早う、大奥へ上るように——と、くりかえしていってでありました。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
汝また、うらみともせず、よく魏の急に駈けつけて、しかもすでに孟達の叛逆をそのに打つ。——もし汝の起つなかりせば、魏の両京は一時にやぶれ去ったかもしれぬ。うれしく思うぞ
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たてきってあったような、その新建しんだちの二階の板戸を開けると、直ぐ目の前にみえる山の傾斜面にひらいた畑には、麦が青々と伸びて、蔵の瓦屋根かわらやねのうえに、小禽ことりうれしげな声をたてていていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
かれ天皇かむあがりまして後に、その庶兄まませ當藝志美美たぎしみみの命、その嫡后おほぎさき伊須氣余理比賣にへる時に、その三柱のおとみこたちをせむとして、謀るほどに、その御祖みおや伊須氣余理比賣、患苦うれへまして
裸体はだか武兵衛は落胆きおちした声で情なさそうに呟いた、数馬もうれいを含んだ声で
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ここに天皇愁歎うれへたまひて、神牀かむとこにましましける夜に、大物主おほものぬし大神おほかみ、御夢に顯はれてのりたまひしく
おもむろに庭樹をながめて奇句を吐かんとするものは此家の老畸人、剣をなでし時事をうれふるものは蒼海、天を仰ぎ流星を数ふるものは我れ、この三箇みたり一室に同臥同起して、玉兎ぎよくと幾度いくたび
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
時時一群の雀等が一つの大きなさんざめきとなつて、塊まりながら奥の繁みへ転がり落ち、高い羽搏きをあげながら孟宗の末枝うれを劇しく鳴らし騒いでゐる。
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
きっとこれは彼自身に喜びがあって、彼の仇の家にうれいごとがあるのだ。
風波 (新字新仮名) / 魯迅(著)
これが彼女の皮膚の明晢めいせきさに或るうれひを与へる様に思はれた。彼等は並んでベンチに腰をおろした。伊曾は強い香気をいだ。しかし何の温度も感じなかつた。
青いポアン (新字旧仮名) / 神西清(著)
心洵に神にあこがれていまだその声を聴かざるもの、人知れず心の悩みに泣くもの、迷ふもの、うれふるもの、一言すればすべて人生問題につまづきずつきて惨痛の涙を味へるもの
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
『こう爛熟うれきった文化というものが、いつ迄、この儘で栄えてゆきましょうか』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かへつて(四八)浮淫ふいんげて・これ(四九)功實こうじつうへくはふるをうれへ、以爲おもへらく、(五〇)儒者じゆしやぶんもつはふみだし、しかうして(五一)侠者けふしやもつきんをかす。
かね一ツうれぬ日はなし江戸の春とは幕府ばくふ盛世さかんなる大都會の樣をわづか十七文字につゞりたる古人の秀逸にして其町々の繁昌はことば
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)