“うつぼ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
52.4%
空穂23.8%
羽壺9.5%
空洞4.8%
4.8%
4.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ところが、それから二年のちにはもう私は、うつぼの乾物屋で青い紐の前掛をしていました。はや私の放浪癖が頭をもたげていたのでしょう。
アド・バルーン (新字新仮名) / 織田作之助(著)
『弓馬秘伝聞書』に祝言しゅうげんの供に猿皮の空穂うつぼを忌む。『閑窓自語』に、元文二年春、出処不明の大猿出でて、仙洞せんとう、二条、近衛諸公の邸を徘徊せしに、中御門なかみかど院崩じ諸公もこうじたとあり。
彼が屋敷町の小路を、針はいらんか、京針はいらんか——とあきないして歩いていると、向うから、羽壺うつぼ革袋かわぶくろを脇に掛けて、二張ふたはり三張みはりの古弓を肩にになった男が、日吉よりはよくとおる声で
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朽ちかけた山門、空洞うつぼのある欅の大樹、苔むした永代常夜燈、その頂きの傘に附してあるシャチも捥ぎとられたり欠けたりしていた。
茶粥の記 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
いよいよ道誉が配流はいるされて行く日を見れば、その行装など、日ごろの物見遊山とも変るところはなく、従者三百騎は、例の伊達だてすがたに猿皮のうつぼをかけたり、鶯籠うぐいすかごやら酒肴しゅこう重箱じゅうばこをたずさえたりして
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小鮫の類を海底の猛獣に例えるなら、そのガラスみちに現れる魚類としては、えいなどは、水に棲む猛鳥にも比すべく、穴子あなごうつぼの類は毒蛇と見ることが出来ましょう。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)