“いなせ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
42.9%
稲瀬14.3%
生粋9.5%
鯔背9.5%
侠気4.8%
4.8%
勇肌4.8%
瀟洒4.8%
競肌4.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
万一これが永い別れになるかも知れないと云って、水盃などをして、刺青ほりものだらけのいなせな兄いが、おい/\泣きながら川崎あたりまで送られてまいり
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ホテルの涼場すずみばの下を通って、稲瀬いなせ川のそばまで行くと、別荘の屋根が見える。そこまで行って、女達は砂の上に腰を下した。
九月一日 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
道理どうれ生粋いなせだと思ったよ」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小鰭の鮨売といえば、そのころは鯔背いなせの筆頭。
顎十郎捕物帳:22 小鰭の鮨 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
これは白魚河岸のほうの床屋の職人で、二十一になる銀吉という、目のキラリと光る侠気いなせな若いだった。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
侠気いなせな若い仕の声がした。阿母がでていってみると、万八の若い仕だった。金太郎武蔵の旦那が御朋輩と年忘れにきておいでなさる、すぐ飛んできて貰いたいというのだった。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
黒斜子くろななこ丁子巴ちょうじどもえの三つ紋の羽織、紺の無地献上博多の帯腰すっきりと、片手を懐に、裄短ゆきみじかな袖を投げた風采は、丈高くせぎすな肌にいなせである。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
巾狭はばぜま単衣ひとえに三尺帯を尻下り、いなせやっこを誰とかする、すなわち塾の(小使)で、怪! 怪! 怪! アバ大人を掏損すりそこねた、万太まんたと云う攫徒すりである。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小粋なモーニングに山高帽、苦み走った一文字眉、剃立ての顎も青み渡った勇肌いなせ哥兄あにい。恭々しく一礼すると
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
一文字眉の、眼差の鋭い勇肌いなせ哥兄あにい。玄関の障子をガラリと引き開け、勝手へ駆け込む幸田の後ろ姿を見ると
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
何事や起こりたると、見物は白糸のあとより、どろどろと乱れ出ずる喧擾ひしめきに、くだんの男は振り返りぬ。白糸ははじめてそのおもてを見るを得たり。渠は色白く瀟洒いなせなりき。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
娘も見送りながら葭簀張よしずっぱりを出ようとすると、川崎道から参りましたのは相州東浦賀の名主役石井山三郎で、連れて参った男は西浦賀の江戸屋半治えどやはんじ、ちょっと競肌いなせな男で