“いなか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
田舎94.1%
地方1.6%
田舍1.6%
故郷1.2%
郷里0.4%
否乎0.2%
居無0.2%
田野0.2%
辺鄙0.2%
郷土0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
或る人が来て、景色の好い上に馬鹿に安い地所があるから移転ひっこさないかと云うから、何処かと聞くと、市外五里の辺鄙な田舎いなかである。
駆逐されんとする文人 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
一と口にいうと、地方いなかからポッと山出やまだし書生の下宿ずまい同様であって、原稿紙からインキの色までを気にする文人らしい趣味や気分を少しも持たなかった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
ふくろ田舍いなか嫁入よめいつたあねところ引取ひきとつてもらひまするし、女房にようぼをつけて實家さともどしたまゝ音信不通いんしんふつうをんなではありしいともなんともおもひはしませぬけれど
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
特に故郷いなかを恋しがつてゐらつしやるお方にはここに蒸立ての栗も用意してございます。
果物屋の広告文 (新字旧仮名) / 仲村渠(著)
あたしは、こんな事をしていて好いのかと、自分の胸をむしっている。郷里いなかへ帰ったからって、好いものは書けやしない。やッぱりあたしは、美妙せんせいのそばにいなければいけないのだ。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
あなたがおいででなかったら、先生が果してあの偉大なトルストイと熟された乎、否乎いなか、分かりません。先生が不朽ふきゅうである如く、あなたも不朽です。あなたはかつて自伝を書いて居ると云うお話でした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
担ぎ出したのです(荻)フム爾だ所持品を隠す位なら成る程髪の毛も取捨る筈だシテ見るとはじめから持物は持て居無いなかったのかナ(大)イエ爾でも有ません持て居たのです
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
、こうして行軍したものだが、まだいちども田野いなかの郷民が、こんなに王軍へ歓呼するような景色に出会ったことはない……。これがまことの野の声というものか
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
年来としごろ大内住うちずみに、辺鄙いなかの人ははたうるさくまさん、かのおんわたりにては、何の中将、宰相などいうに添いぶし給うらん、今更にくくこそおぼゆれ」などと云ってたわむれかかると
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
派手はでで門戸を張って、家族の生活までが、都風に化されていたが、小野寺家は、京の町中にありながら、殆ど、郷土いなかの風をそのまま、一儒者じゅしゃの住居ぐらいな小門とまがきの中に
いなかの珍らしい娘の目にはさすがにこの景色が面白いと見えて、たびたびああいい景色と賞めた。
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)