“あお”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
31.3%
22.3%
14.8%
10.4%
9.1%
7.4%
仰飲1.1%
0.9%
0.2%
0.2%
0.2%
青毛0.1%
0.1%
青馬0.1%
仰向0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
仰服0.1%
幻青0.1%
海碧0.1%
0.1%
灰色0.1%
煽飲0.1%
碧緑0.1%
碧藍0.1%
0.1%
芫青0.1%
蒼白0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
黒馬0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いつもじっとこちらを眺め、ふいにあおくなったり「美しいなあ」と溜息ためいきをついたりする。そして三日にあげずなにか物を買って来る。
柘榴 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
……すると全く不意に、ガタンと激しい音がして、歩廊プラット・ホームへ出るドアが開き、どっと吹込ふきこんで来た風にあおられて卓子テーブルの上の洋灯ランプが消えた。
廃灯台の怪鳥 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
と、母親ははおやおしえました。するとみんな一生懸命いっしょうけんめい、グワッ、グワッと真似まねをして、それから、あたりのあおおおきな見廻まわすのでした。
男女の別は、男は多くあおぎふし、女は多くうつふしになりたるなり。旅店のうしろなる山に登りて見るに、処々に清泉あり、水清冽せいれつなり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
さびしい風が裏の森を鳴らして、空の色は深くあおく、日の光は透通すきとおった空気に射渡さしわたって、夕の影が濃くあたりをくまどるようになった。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
早いこと、早いこと! 陽炎かげろう電光いなずまのごとく、内ポケットから紙包みを出したかと思うと、もう伯爵はグウッと酒であおりつけている。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
世間は気次第で忌々いまいましくも面白くもなるものゆえ、できるだけは卑劣けちさびを根性に着けず瀟洒あっさりと世を奇麗に渡りさえすればそれで好いわ、と云いさしてぐいと仰飲あお
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
噂というものは、こちらで、もみ消そうとするとかえってひろがり、こちらから逆に大いにあおいでやると興覚めして自然と消えてしまうものでございます。
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
もっともそう言う女房は少しくらっていたようで、亭主の国府に張合って、朝から濁酒どぶろくでもあおったんでしょう
川島は、其処の倒れた松に腰かけて一ぷくしながら、あおいゼリーのような、地図に無い沼を見下みおろしていたが、やがて煙草を棄てて水際までおりて行った。
植物人間 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
ドウダンツツジの葉と、背向きになって、あおい地紙に、あかっちゃけたが交ったようだ、何枚も、何枚も、描き捨てられた反古ほごのような落葉が、下に腐って、半ば黒土に化けている。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
『前日、幄舎あくしゃてた工匠たくみどもが、くぎをこぼしていたものとみえ、釘を踏み抜いてしまったのだ。おれでも踏み抜けばよかったのに……あの青毛あおが、後脚ともあしの右のひづめで』
この歌は、平安朝に艶名えんめい一世いっせあっした、かりけるわらべあおをかりて、あをかりしより思ひそめてき、とあこがれたなさけに感じて、奥へと言ひて呼び入れけるとなむ……名媛めいえんの作と思う。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「志保田の嬢様が城下へ御輿入おこしいれのときに、嬢様を青馬あおに乗せて、源兵衛が覊絏はづないて通りました。——月日の立つのは早いもので、もう今年で五年になります」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その龍顔も、やや仰向あおに、しばし暗然としておられた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
飛んでもないことである。五十歳前、徳川三百年の封建社会をただ一あおりに推流おしながして日本を打って一丸とした世界の大潮流は、まずやすまず澎湃ほうはいとして流れている。
謀叛論(草稿) (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
白魚橋のあおい空を、乱れた提灯ちょうちんの影が点々と駈け出して行った。——むろん東儀が河の中からそこに認めた郁次郎は、とうに夕闇の深くへその姿をくらましていた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おや。あおだよ、黒来い来い!」
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
じっと彼が酒をあおるのを眺めて居た女は、此種の女の敏感に伴う微な身慄いを身体中に走らせたが
ドーヴィル物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ジンの熱いやつでもあおって、さぞ、男同志が溜息をつき合うことでしょう。
ドーヴィル物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
いつもわが独寝ひとりね臥床ふしど寂しく、愛らしき、小さき獣にうまきもの与えて、寝ながらそのくらうを待つに、一室ひとまの内より、「あおよ、」「すがわらよ。」など伯母上
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いちどは鎌倉にとらわれた前科の身だ。絶体絶命とみたら、いつでも護持する綸旨りんじを灰として、自身は毒を仰服あおぐ決意を秘めていたのである。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
桃色と幻青あおとの軽羅うすものの女を、好んで描く女画家マリー・ローランサンにほれてゐることだ。
くっきりと濃い海碧あお色を背景にして、一人の自転車乗りを点出したものであったが、まず一本の軌道が下へ向かってうねうねと幾重にも曲りくねって
或る精神異常者 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
運命の命ずるままに引きずられて、しかも益々苦痛な、益々暗澹たる生活をさせられる我身を、我と我手でなます切りにして大洋のあおい浪の中に投げて仕舞いたかった。
栄蔵の死 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
まず第一に彼等はうまやを見に行った。そこには二頭の牝馬がいて、一方はぶちのある灰色あおで、一方のは鹿毛であった。それから栗毛の種馬が一頭いた。
そしてしたたか酒を煽飲あおりながら、一箸ごとに噛みしめるようにしてそれを味った。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
お雪は、ぞっとするほど碧く澄んだ天地の中に、ぼんやりとしてしまった。皮膚にまで碧緑あおさがみこんでくるように、全く、此処ここの海は、岸に近づいてもあい色だ。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
空は、それにもまして碧藍あおく、雲の色までが天を透かして碧い。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
ときどき風が木々の香りをあおりながら、彼女のところまでさっと吹いて来た。それが云わば此処で許される唯一の生のにおいだった。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
葛上亭長まめ芫青あお地胆つち、三種合わせた、猛毒、はだえあわすべき斑蝥はんみょううちの、最も普通な、みちおしえ、魔のいた宝石のように、炫燿ぎらぎらと招いていた。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
樹島は、ハッと、真綿に据えたまま、蒼白あおくなって飛退とびしさった。そして、両手をついた。指はズキズキと身にこたえた。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
又「呼んで来い/\、主人にあおうと云うのだ、何を悪い事をした、手前てめえの知った事じゃアねえ」
山「実に此処であおうとはなア、兼公、半公もおめえに逢いてえだろうが出られねえ首尾で、今日は漸く暇を貰って出て来たが、直ぐおめえとこへもけねえというのは何分世間をはばかる訳で」
同じ人間もな……鑄掛屋を一人土間であおらして、納戸の炬燵こたつに潜込んだ、一ぜん飯の婆々ばば媽々かかなどと言うてあいは、お道さんの(今晩は。)にただ、(ふわ、)と言ったきりだ。顔も出さねえ。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして、馬に鞍を置いてしまうと、正勝と平吾へいご松吉まつきちの三人の牧夫は銘々に輪になっている細引を肩から袈裟けさにかけた。そして、正勝は葦毛あしげの花房に、平吾は黒馬あおに、松吉は栗毛くりげにそれぞれまたがった。
恐怖城 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)