鷺坂さぎさか)” の例文
家扶の鷺坂さぎさか靱負が来ると、手箱と云い、こんどは激しく咳こんだ。七十郎は眼をそむけて、続けさまに酒をあおった。
海道の合戦は、この日に始まり、交戦三日後には早やそこの矢矧やはぎ川も官軍二万の後方しりえにおかれていた。そして序戦にやぶれ去った足利方の先鋒せんぽう高ノ師泰もろやすは、鷺坂さぎさか(遠州見附の北)までなだれ退いて
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)