鳳凰ほうわう)” の例文
御神輿おみこしはしらの、かざり珊瑚さんご𤏋ぱつき、ぎんすゞ鳴据なりすわつて、鳳凰ほうわうつばさにはとりのとさかが、さつあせばむと、彼方あつち此方こつちさま團扇うちはかぜなみに、ゆら/\とつて
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかもその食器がことごとく、べた一面に青い蓮華れんげや金の鳳凰ほうわうを描き立てた、立派な皿小鉢ばかりであつた。
南京の基督 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その形は多少怪異なものですが、水盤の眞ん中に立つたのは、正しく鳳凰ほうわうの飛躍的な姿です。
それから最後の芸にとりかゝつて、まづりゆうの姿を吹き上げ、次に鳳凰ほうわうの姿を吹き上げました。竜と鳳凰とがもつれ合ひながら空高く飛び去るのを、あたりの人たちは息をこらしてながめました。
シャボン玉 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
鳳凰ほうわうでも丹頂の鶴でもなくてそこらの畑にゐるただの烏なのが嬉しい。ただしこれは権兵衛が種子を蒔いてもそばからほじくらない善良な烏である。私も東国の野人だ。生得かうした野趣を好む。
府中のけやき (新字旧仮名) / 中勘助(著)
絵のなかに舞ふ鳳凰ほうわう
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
虞舜ぐしゆん鳳凰ほうわうくだ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
が、そんなことを眼中に置かないでも、鳳凰ほうわう羅漢らかんなんぞは、至極しごく結構な出来だと思ふ。あの位達者で、しかもあの位気品きひんのある所は、それこそ本式に敬服のほかはない。
俳画展覧会を観て (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
行暮ゆきくれて一夜ひとよ宿やどうれしさや、あはかしさへたまて、天井てんじやうすゝりうごとく、破衾やれぶすま鳳凰ほうわうつばさなるべし。ゆめめて絳欄碧軒かうらんへきけんなし。芭蕉ばせをほねいはほごとく、朝霜あさしもけるいけおもに、鴛鴦ゑんあうねむりこまやかなるのみ。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だから、あいつが御用ごようになつて、茶屋の二階から引立ひつたてられる時にや、捕縄とりなはのかかつた手の上から、きり鳳凰ほうわうぬひのある目のさめるやうな綺麗きれい仕掛しかけ羽織はおつてゐたと云ふぢやないか。
南瓜 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
麒麟きりんはつまり一角獣いつかくじうですね。それから鳳凰ほうわうもフエニツクスと云ふ鳥の、……」
歯車 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)