しび)” の例文
洋服の男はあれはしびの寄りへ大網を掛けた所だと説明する。少女は又其方へ目を配る。其網に近く海中へ丸太で櫓のやうなものが建てゝある。
旅の日記 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
蘇我ノ蝦夷えみし平群へぐりしび、蘇我ノ赤魚あかお押返おさかえ毛屎けくそ阿曇あずみ蛍虫ほたる——などはまだよいが、巨勢こせ屎子くそこという女性がある。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あしたにはもちひ焼かせて、日暮にはお膳竝べて、さて師走、我が家の市、馬ぞ、しびぞ、鰤ぞ、牛ぞと、おもしろと、見るとながむと、子供らの一の和子わこ我は。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
第二十四代の天皇仁賢にんけんの時代には、やはり天皇の死んだあとに、大臣平群真鳥へぐりのまとりとその子のしびが反抗した。
日本書紀第十六巻に記録された、太子がしびという男に与えた歌にも「ない」が現われており、またその二十九巻には天武てんむ天皇のみ代における土佐国とさのくに大地震とそれに伴なう土地陥没の記録がある。
日本人の自然観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
わが恋はいさなつく子かしび釣りか沖の舟見て見てたそがれぬ
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
大魚おふをよし しび海人あま
しびつくとはいふ、さあれ
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
おおきい魚のしびを突く海人よ
馬に載せたるしびの腹
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
美魚うましうをしびつくもり
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
遊び來る しび端手はたで
しびを突くしびおみよ。