うま)” の例文
ちょうどこのとき、うまくるまかせ、いしんでさかのぼりかけているおとこました。どこからきたものか、ひとうまつかれていました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もつと衣服きものいでわたるほどの大事おほごとなのではないが、本街道ほんかいだうには難儀なんぎぎて、なか/\うまなどが歩行あるかれるわけのものではないので。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
若者わかものは、近所きんじょぬのたんわりに、手綱たづなとくつわをってうまにつけますと、さっそくそれにって、またずんずんあるいて行きました。
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
野生やせいけものだけでも、二百六十八種にひやくろくじゆうはつしゆうしうまそのほか家畜かちく動物どうぶつ十六種じゆうろくしゆもゐますが、こゝではやま動物どうぶつについてすこしくおはなししませう。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
三斎公様のお仁慈は、涙のこぼれるほどうれしい。一合のお扶持ふちといえ、うまくつを作る身には、勿体のうて、否応いえたことではない。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
關館と大木おほきと兩方から土手をきづき出して、まん中に橋をけた處まで來ると、馬のはだよりも黒い若い衆が一人裸でうまを洗つてゐた。
筑波ねのほとり (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
かのうしはびぞんといふうしで、今日こんにちうしとはそのかたちことなつてゐますけれども、鹿しかうまかたちはなんとよく本物ほんもののようでありませんか。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
おまえにもいろいろ世話せわになりました……。』こころなかでそうおもっただけでしたが、それはかならずうまにもつうじたことであろうとかんがえられます。
取建四方の道筋みちすぢへは與力同心等晝夜出役して往來わうらいの旅人うま駕籠かご乘打のりうちを禁じ頭巾づきん頬冠ほゝかぶりをも制し嚴重に警固せり天一坊方にては此樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「あゝとこだ、よう、おつぎ、ちつ此處ここまでてくんねえか」といつた。かれ百姓ひやくしやうあひだにはうまいてある村落むら博勞ばくらうであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
なにうまはゐなかつたか? あそこは一たいうまなぞには、はひれないところでございます。なにしろうまかよみちとは、やぶひとへだたつてりますから。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
阿仙おせんは一子の名なかすなの一語之が養育に心を用いん事を望むの意至れり、うまこやせの一句造次顛沛ぞうじてんぱいにも武を忘れざる勇士の志操こゝろづけ十分に見ゆ
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
馬方うまかたひますと、うま片足かたあしづゝたらひなかれます。うま行水ぎやうずゐわらでもつて、びつしよりあせになつた身體からだながしてやるのです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「そんなことを言っていたのか、わかいくせに。元来それほど単純な男でもないが、打ちこむと馬車うまのようになるんで困る。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「手前が、御丁寧にも麻布からうまを引いて來たんだよ。御用聞が人に後をけられて知らずに居るなんざ、あんまり褒めたことぢやえぜ」
乃至ないし眞夜中まよなかうまたてがみ紛糾こぐらからせ、また懶惰女ぶしゃうをんな頭髮かみのけ滅茶滅茶めちゃめちゃもつれさせて、けたら不幸ふかう前兆ぜんてうぢゃ、なぞとまするもマブが惡戲いたづら
武王ぶわう(二六)木主ぼくしゆせ、がうして文王ぶんわうし、ひがしのかた(二七)ちうつ。伯夷はくい叔齊しゆくせい(二八)うまひかへていさめていは
うま」と呼ばれる皿を見よ、如何なる画家も、あの簡単な渦巻を、かくも易々と自由に画くことは出来ないであらう。それは真に驚異である。
雑器の美 (新字旧仮名) / 柳宗悦(著)
まへとゝさんはうまだねへとはれて、のりやらき子心こゞころにもかほあからめるしほらしさ、出入でいりの貸座敷いゑ祕藏息子ひざうむすこ寮住居りようずまひ華族くわぞくさまを氣取きどりて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うまけるのに手間てまれるとかとりきんで、上句あげくには、いつだまれとか、れこれうな、とかと真赤まっかになってさわぎかえす。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
このうたはどうかすれば、うまつてたびをしてゐて、それをすぐさま枕詞まくらことばとして、くらたかねといつたようにもおもはれるが、さうかんがへてはいけません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
それ深刻しんこく印度いんど化物ばけものとはくらべものにならぬ。たとへば、ケンタウルといふ惡神あくしん下半身しもはんしんうまで、上半身かみはんしん人間にんげんである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
二三ねんって、とき、このくに王子おうじが、このもりなかを、うまとおって、このとうしたまでたことがありました。
……それにしても、純血ピュウル・サンって、なんのことかしら? うまでもあるまいし、ずいぶん、でたらめなことをいうわね
キャラコさん:03 蘆と木笛 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
製作物せいさくぶつした生徒せいとでない、なそは/\して展覽室てんらんしつたりはひつたりして自分じぶんこの展覽會てんらんくわい出品しゆつぴんするつもりで畫紙ゑがみまいおほきくうまあたまいた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
うまはこのまんま、えるやうににたいとおもひました。んで、そして何處どこかで、びつくりして自分じぶんいてわびる無情むじやう主人しゅじんがみてやりたいとおもひました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
主人しゆじん蒙古人もうこじん上手じやうずうまあつかことや、蒙古犬もうこいぬせて細長ほそながくて、西洋せいやうのグレー、ハウンドにてゐることや、彼等かれら支那人しなじんのために段々だん/\せばめられてこと
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
A ラヴレターならむかしから、うまんだら七駄半だはんなんて先例せんれいがあるんだけれど、母親はゝおや毎日まいにちかさずはまつた感心かんしんだね。けだ葉書利用法はがきりようはふ最上乘さいじやうじようなるものかね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
そのうち、子どもの声で、やじうまがぞろぞろと集まってきだした。こうなっては逃げるよりほかはない。
ボートはぐ、水練すゐれんる、自転車で乗廻のりまはす、うまる、学科には平生へいぜい苦心くしんせんのであつたが、く出来ました、試験しけん成績せいせき相応さうおうよろしかつた、わたしと来ると
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
婆ア比丘尼じゃアから厭で/\ならん、お前がうんと云うてくれゝば、惠梅に別れて、私は此処こゝの家へ這入って働き男になり、うしうまいたり、山で麁朶そだをこなし
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
うまへ乗って行くんだが、名主なら布団七めえも重ねる所だが、マア三枚にして置いて、あけえのと、青えのと、それから萌黄のと、三枚布団で、化粧鞍を掛け、嫁子よめっこさんを
昔は共進会で、競馬うまとして褒状ほうじょうを貰ったこともある彼女も、今では時折りではあるが、荷馬車が必要になると、こうして駄馬として使用されることもあるのである。
南方郵信 (新字新仮名) / 中村地平(著)
待ちましたと云ふ諸事左樣さう來て貰ひたしさすがは下諏訪の龜屋なりとたゝ土産みやげにとて贈られたる名物氷餅こほりもちを旅荷物のうちへ入れてうまどほであツたと馬士まごにも挨拶してこゝ
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
山科やましな木幡こはたやまうまはあれどかちおもひかね 〔巻十一・二四二五〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
午後二時というに上野をでて高崎におもむく汽車に便たよりて熊谷まで行かんとするなれば、夏の日の真盛りの頃を歩むこととて、市中まちなかの塵埃のにおい、うまくるまの騒ぎあえるなど
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
うま男を随えて帰る途上、一計を案じ、知りもせぬ石切屋に入りてその親方に小声で、門口に立ち居る男が新死人の石碑を註文に来たが、町不案内故通事つうじに来てやったと語り
え、アデェルさまも御一緒ですの。皆さま御食堂にゐらつしやいます。それから、ジョンは外科のお醫者さまへ參りました。旦那さまがお怪我けがをなすつたもので。うまころんでくるぶし
はなひくくてほそくて、何處どこけたかんじのするひらべつたいかほ——そのかほながいので「うまさん」と綽名あだながついた。が、中根なかね都會生とくわいうまれの兵士達へいしたちのやうにズルではなかつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
あさはんつてから、老人らうじんあしだから、池田いけだいたときは、もうつであつた。おくれた中食ちうじきをして、またぽつ/\と、うまかよひにくいみちを、かはつて山奧やまおくへとすゝんでつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
りょうの馬車を認め目科はれを呼留よびとゞめてず余に乗らしめ馭者ぎょしゃには「出来るだけ早くれ、バチグノールのレクルースまち三十九番館だ」と告げ其身も続て飛乗りつ只管ひたすらうませかたてたり
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
逆上し切ってお先真暗なことに於て、あばうまばかりを笑われませんでした。幾分の余裕を存して追いかけて来たつもりの米友自身すらも、この時分はかなり目先がもうげんじていました。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
これが子爵の心の奥にひそめた響であツた。要するに周三は、子爵の爲に、また勝見家の爲に種馬たねうまの資格となツたのだ。好いうまを生ませる爲に、種馬の持主もちぬしは誰にしても種馬を大事にする。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「いよいよ行けなくなったら、いぼれうまのようにたおれるだけさ」
長屋の人たちはこの処を大久保おおくぼ長屋、また湯灌場ゆかんば大久保と呼び、路地の中のやや広い道を、うま背新道せしんみちと呼んでいた。道の中央が高く、家に接した両側が低くなっていた事から、馬の背にたとえたので。
深川の散歩 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「おまえのうまじゃ、とてもついてられまいからな」
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
こころもちつかれたうま呼吸こきふ……
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
雜阿含經ざうあごんきやうにも四しゆうまかれ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
うま乗りばかまが、さやさやと鳴る。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
くびきつながれたるうしうま
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)