弁当は朝に晩に、馬車継立所ばしゃつぎたてしょのそばの米ずしという小さな飲食店から赤いメリンスの帯をしめた十三四の娘が運んで来た。行田の家からもやがて夜具や机や書箱ほんばこなどをとどけてよこした。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)