さあ)” の例文
雨戸を少しあけて見たら、月は生憎雲をかぶつて、朦朧まうろうとした谷底を石狩川が唯さあさあと鳴つて居る。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
北海道の神居古潭で中秋にうも、他日の思出の一であろう。雨戸を少しあけて見たら、月は生憎あいにく雲をかぶって、朦朧もうろうとした谷底を石狩川が唯さあさあと鳴って居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
余は奥座敷で朝来ちょうらいの仕事をつゞける。寒いので、しば/\火鉢ひばちすみをつぐ。障子がやゝかげって、丁度ちょうど好い程のあかりになった。さあと云う音がする。ごうと云うひびきがする。風が出たらしい。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)