頓著とんじゃく)” の例文
そこで私は殆んど時代なんかに頓著とんじゃくなしに数十句の解釈を試みて、諸君の俳句に対する解釈力というようなものを養うという事にしようと思う。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
北斎ほくさいなどの読み本の挿画には、田舎の豊饒ほうじょうを写し出そうとすると、きまって鳴子なるこ頓著とんじゃくせぬらしい雀の大群が描いてある。
わたしは側へゆくことが出来ないで遠くの方で立っていると小さな友達はわたしが「秩秩斯干チーチースーハン」が読めることなど頓著とんじゃくなしに寄ってたかってはやし立てる。
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
その時長者の手代渡海して珍宝を失い、長者の妻告訴されその児も死亡した。凶事のみあつまった日だったのに摩訶羅は頓著とんじゃくせず、舎利弗通り、願わくば今後常に、然らん事をと呪願した。
そんなことに頓著とんじゃくなく十七字の詩即ち俳句だというならばそれまでである。ただ季のない句がどれほど価値があるか。実際に価値のある句が生れるか生れないか、それが問題なのである。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
いくら社会が平等になっても人々の好みと精力が平等にもならず、手品や落し咄なら知らぬ事、耕さずに熟する米や、光で飯を煮る珠、また食っても尽きぬ飯を、生活一切頓著とんじゃくなければとて