雲散霧消うんさんむしょう)” の例文
深夜の奇怪な対決が、悲劇を喜劇的にすることによって、たしかになにかを雲散霧消うんさんむしょうしたのである。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
家へ帰りつくまでには、背後の犬もどこかへ雲散霧消うんさんむしょうしているのが、これまでの、しきたりであったのだが、その日に限って、ひどく執拗しつようれ馴れしいのが一匹いた。
すなわち、がちゃーんの音を聞く瞬間、光枝の胸の中に鬱積うっせきした不満感といったようなものが、一時的ではあったが、たちまち雲散霧消うんさんむしょうしてしまうのを感じたことであった。
什器破壊業事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)