雁字搦がんじがら)” の例文
捕縄の掛け方に就いても、雁字搦がんじがらみ、亀甲繋きっこうつなぎ、松葉締め、轆轤巻ろくろまき、高手、小手、片手上げ、逆結び、有らゆる掛け方に通じていた。
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
つまりここでは生活を雁字搦がんじがらめにして、手枷てかせ、足枷、首枷をはめたうえ天床てんじょうつるし上げたというかたちらしい。
格子こうしの外に近付いた人の顔がある。それは白い記者手帳を片手にもった東京××新聞の記者風間八十児かざまやそじだった。その後には雁字搦がんじがらめに縛られた男が、大勢の刑事に守られて立っていた。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それはぼくを雁字搦がんじがらめにし、身動きもできなくしちまうんです、仮に眼をつぶるとするでしょう、それでもまぶたをとおしてそいつははっきり見えるんですよ
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
彼はあの鬼女を雁字搦がんじがらめにし、絞れるだけ絞った、彼自身そう思ったし、まわりの者もそう認めた、ところがまったく逆だったんだ、雁字搦みに縛られたのは彼自身なんだ
陽気な客 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)