銀杏いちよう)” の例文
涙ぐみてたたずむ時、ふと見る銀杏いちようの木のくらき夜の空に、おおいなるまるき影して茂れる下に、女の後姿うしろすがたありてわがまなこさえぎりたり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さくひたる井戸ひとつ、銀杏いちようりたる樹あり、そがうしろに人の家の土塀どべいあり。こなたは裏木戸のあき地にて、むかひに小さき稲荷いなりの堂あり。石の鳥居とりいあり。木の鳥居あり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)