遁形術者とんぎょうじゅつしゃのかれは、住まいも一定しているはずはなかった。同時に、多くの居どころを持っていたが、それに限定されるわけではなく、あらゆる場所がかれの住まいとなりえた。
影男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)