辻番所つじばんしょ)” の例文
通過ぎる人でもあらば聞質ききただしたいと消えかかる辻番所つじばんしょ燈火あかりをたよりに、しきり四辺あたりを見廻すけれど、犬の声ばかりして人影とては更にない。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
日も暮れ六つに近い頃に、ひとりの中間体ちゅうげんていの若い男が風呂敷づつみを抱えて、下谷したや御徒町おかちまち辺を通りかかった。そこには某藩侯の辻番所つじばんしょがある。
西瓜 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
辻番所つじばんしょから駈けつけて来たほうは、当然、辻番所へらっして行こうとし、町中の人たちは、これは友だちを斬ったあだだから自分たちの手で存分にする。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幸助は御徒町の長屋を足がかりに、辻番所つじばんしょや差配や町役ちょうやくに当り、苦労してこの猿屋町の家をつきとめたという。まる三日がかりだった、というのも嘘ではないようであった。
枡落し (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
九郎右衛門等三人は河岸かしにある本多伊予守頭取いよのかみとうどり辻番所つじばんしょに届け出た。辻番組合月番西丸御小納戸鵜殿吉之丞にしまるおこなんどうどのきちのじょうの家来玉木勝三郎組合の辻番人が聞き取った。本多から大目附に届けた。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
辻番所つじばんしょが半分だけ見える。
瞼の母 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
と、辻番所つじばんしょの羽目板を指さしました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)