横山町の米屋——といっても、金貸の方で名高い万両分限、越後屋佐兵衛えちごやさへえの跡取り娘おきぬ、弁天とも小町とも、いろいろの綽名あだなで呼ばれる、界隈かいわい切っての美人だったのです。