偶然開いたところは豹子頭林冲ひょうしとうりんちゅうが、風雪の夜に山神廟さんじんびょうで、草秣場まぐさばの焼けるのを望見するくだりである。彼はその戯曲的な場景に、いつもの感興を催すことが出来た。
戯作三昧 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)