象嵌ざうがん)” の例文
童話時代の明け方に、——獣性の獣性を亡ぼす争ひに、歓喜する人間を象徴しようとするのであらう、日輪は、さうして、その下にさく象嵌ざうがんのやうな桜の花は。
かちかち山 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
長煙管ながぎせる雁首がんくびで、鉄に銀の象嵌ざうがんをした朝鮮の煙草箱を引き寄せ乍らその長い膝をグツと突き出して坐つた。
けれども彼は無花果の下や象嵌ざうがんをしたさかずきの前に時々彼の友だちのクリストを思ひ出してゐたことであらう。
西方の人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)