諳錬あんれん)” の例文
当時の留守居役所には、この二人ふたりの下に留守居下役したやく杉浦多吉すぎうらたきち、留守居物書ものかき藤田徳太郎ふじたとくたろうなどがいた。杉浦は後喜左衛門きざえもんといった人で、事務に諳錬あんれんした六十余の老人であった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
此談は柏軒が予後よごを誤つたことを伝へてゐる。予後を誤ることは豪邁なる医の免れ難い所である。気象豪邁なるときは、技術に諳錬あんれんしてゐても、予後を説くに臨んで用意の周全を闕く。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)