きれ)” の例文
引廻して前にて結び、これを帯に推込おしこみてほのかに其一端そのいつたんをあらはす、きれと帯とに照応する色合の可なるものまた一段、美の趣きあるあり。
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
黒いきれで眼かくしされてゐるやうに暗かつた。見ると、そのなかに、然し眼をひよいと疑ふ程に、鱗光が、ひらめいた。その次にすぐ、力強い、水をたゝきつける音が起つた。
防雪林 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)