てふ)” の例文
にごれるみづいろへて極彩色ごくさいしき金屏風きんびやうぶわたるがごとく、秋草模樣あきくさもやうつゆそでは、たか紫苑しをんこずゑりて、おどろてふとともにたゞよへり。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「親分も知つて居なさるでせう、近頃兩國の廣小路に小屋を掛けて、江戸中の人氣を集めて居る、娘手踊の半九郎一座の花形、おてふとおてる
むか三軒さんげん両隣りやうどなりのおてふ丹次郎たんじらうそめ久松ひさまつよりやけにひねつた「ダンス」の Missミツス B.ビー A.エー Bae.べー 瓦斯ぐわす糸織いとおり綺羅きら
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
われ毛虫けむしたりし時、みにくかりき。吾、てふとなりてへばひとうつくしとむ。人の美しと云ふ吾は、そのかみの醜かりし毛虫ぞや。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
文藏と呼て夫婦の寵愛ちようあいいふばかりなくてふよ花よとそだてけるにはや文藏も三歳になりしころ父の文右衞門不※ふとかぜの心地にて打臥うちふしけるが次第に病氣差重さしおも種々いろ/\養生やうじやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『では、だおまへはそれをらないんだわ』とつてあいちやんは、『でも、おまへさなぎつてから——何時いつかしら屹度きつとわかるわ——それからてふになるときに、 ...
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
さればおなじく自然といひ、造化といへど、ゾラが自然は弱肉強食の自然なるに、撫象子が造化はてふ舞ひ鳥歌ふ造化なり。逍遙子が自然主義は則ちこれに反す。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
せまには垣根かきね黄色きいろてふいくつもとまつてしきりにはねうごかしてるやうに一つ/\にひらり/\とひらいては夜目よめにもほつかりとにほうて月見草つきみさう自分等じぶんらよるたと
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
我国の俚言りげんてふをべつたうといふ、渋海川のほとりにてはさかべつたうといふ。蝶はもろ/\むし羽化うくわする所也、大なるを蝶といひ、小なるをといふ。(本艸)其種類そのしゆるゐはなはだおほし。
てんでにかき分け、ふみ分けて進むと、その中からいろんなてふはち蜻蛉とんぼが飛び出し、また足下から青蜥蜴あをとかげが飛び出して来て、みんなをびつくりさせ、大さわぎをさせたりします。
原つぱの子供会 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
運河のほとりの風車。白い雲。夏草。林。少女。犬。てふ。そして終始彼から十メートルとは離れずにせまつて来た智利チリ人のプラザ。頬骨ほゝぼねの出てゐる浮世絵の人物のやうな日本のヤマダ。
亜剌比亜人エルアフイ (新字旧仮名) / 犬養健(著)
はゝ親心附おやごゝろづけれどもなんこととも聞分きゝわけぬとおぼしく、見開みひらきながらくうながめて、あれ奇麗きれいてふてふがとひかけしが、ころしてはいけませんよ、兄樣にいさん兄樣にいさんこゑかぎりにべば、こらうした
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
が、これをしも「竊盗せつたうノ性アリ」と云ふならば、犬は風俗壊乱の性あり、燕は家宅侵入の性あり、蛇は脅迫けふはくの性あり、てふは浮浪の性あり、さめは殺人の性ありと云つても差支さしつかへない道理であらう。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
盛りなる御代みよきさきに金のてふしろがねの
源氏物語:24 胡蝶 (新字新仮名) / 紫式部(著)
あらまあ てふ々のやうに飛べるわ
雨やんで庭しづかなり秋のてふ
自選 荷風百句 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
明日はさなぎがてふになる。
明日 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
短気なやうなてふが来る。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
てふのはをなぶるよに
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
小櫛をぐしてふを夢にみしかな
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
しばらくすると、毛蟲けむしが、こと/″\眞白まつしろてふになつて、えだにも、にも、ふたゝ花片はなびららしてつてみだるゝ。幾千いくせんともかずらない。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
身をかへすとお紋は、大きい揚羽あげはてふのやうに、ヒラリと襖の蔭へ隱れました。多分お勝手の指圖でせう。
まうけ夫婦の喜悦よろこび假令たとふるにもの無くてふよ花よといつくしみそだつうちに間も無つまのお久時の流行はやり風邪かぜ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はるうら/\てふともあそぶやはな芳野山よしのやまたまさかづきばし、あきつきてら/\とたゞよへるうしほ絵島ゑのしままつさるなきをうらみ、厳冬げんとうには炬燵こたつおごり高櫓たかやぐら閉籠とぢこもり、盛夏せいかには蚊帳かや栄耀えいえう陣小屋ぢんごやとして
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
何故でも振られる理由わけが有るのだもの、と顔を少し染めて笑ひながら、それじやあ己れも一廻りして来ようや、又のちに来るよと捨て台辞ぜりふしてかどに出て、十六七の頃まではてふよ花よと育てられ
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
M夫人——舌の上にてふが眠つてゐる。
軽井沢で (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
此身てふにもあるまじけれど
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
短気なやうなてふが来る。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
写真班しやしんはん英雄えいゆうは、すなはちこの三岐みつまたで一自動車じどうしや飛下とびおりて、林間りんかんてふ逍遥せうえうする博士はかせむかふるために、せて後戻あともどりをしたところである。——
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
標本臺の上の美しいてふのやうに死んで居り、土地の御用聞と町内の外科が、調べたり、手當てをしたり、いろ/\こゝろみて居りますが、最早手の盡しやうもありません。
てふなにない、あに此處こゝだから、ころしはせぬから安心あんしんして、な、いか、えるか、あにだよ、正雄まさをだよ、取直とりなほして正氣しやうきになつて、おとつさんやおつかさんを安心あんしんさせてれ、こらすこ聞分きゝわけて
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わくら葉はてふとなりけり糸すすき
O君の新秋 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
うす桃色の日のてふと……
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
さかづきをさめるなり汽車きしやつていへ夫婦ふうふ身体からだは、人間にんげんだかてふだか区別くべつかない。遥々はる/″\た、とはれてはなんとももつきまりわるい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
井戸のふたを拂つて見ると、危ない井桁ゐげたに荒繩で吊られ、水肌すれ/\にブラ下がつて居るのは、蜘蛛くもの巣にかゝつた、美しいてふのやうな娘の姿——それはまぎれもないお筆の
何故々々なぜ/″\何故なぜでもられる理由わけるのだもの、とかほすこめてわらひながら、れじやあれも一まわりしてようや、またのちるよと臺辭ぜりふしてかどて、十六七のころまではてふはなよとそだてられ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あゝ、はなみだれぬうち、くもうちから奥様おくさまたすし、こゝへならべて、てふかげから、貴下あなたよろこかほて、あと名告なのりたうごさんした。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
莊子さうしてふゆめといふ義理ぎりまこと邪魔じやまくさしぎはまではとひきしむる利慾りよくこゝろはかりには黄金こがねといふおもりつきてたからなき子寶こだからのうへもわするゝ小利せうり大損だいそんいまにはじめぬ覆車ふくしやのそしりも梶棒かぢぼうにはこゝろもつかずにぎつてはなさぬ熊鷹主義くまたかしゆぎ理窟りくつはいつも筋違すぢちがひなる内神田うちかんだ連雀町れんじやくちやうとかや
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
失禮しつれい唯今たゞいま。」とかべなかに、さわやかわかこゑして、くゞもんがキイとくと、てふのやうに飜然ひらりて、ポンと卷莨まきたばこはひおとす。
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みじかしとくらこゝろ如何いかばかり長閑のどけかるらんころ落花らくくわの三ぐわつじんちればぞさそあさあらしにには吹雪ふゞきのしろたへ流石さすがそでさむからでてふうらの麗朗うら/\とせしあまあがり露椽先ぬれゑんさき飼猫かひねこのたまかるきて首玉くびたましぼばなゆるものは侍女こしもとのお八重やへとてとし優子ゆうこに一おとれどおとらずけぬ愛敬あいけう片靨かたゑくぼれゆゑする目元めもとのしほの莞爾につこりとして
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
をんなが、しろやさしい片手かたてときいたきれ姿すがたしのぶ……紅絹もみばかり、ちら/\と……てふのやうにもやひ……
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
このことばしんをなした。翌々夜よく/\や秋田市あきたしでは、博士はかせてふ取巻とりまくこと、大略おほよそかくとほりであつた。もとよりのちはなしである。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
眞白まつしろうでについて、綿わたがスーツとびると、可愛かはいてのひらでハツとげたやうに絲卷いとまきにする/\としろまつはる、娘心むすめごころえにしいろを、てふめたさう。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
画工ゑかきさんは立処たちどころにコバルトのいたし、博士はかせむらさきてふつて、小屋こやうらの間道かんだううらはやしはいつたので。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みツつ」とうぐひすのやうなこゑそでのあたりがれたとおもへば、てふひとツひら/\とて、ばんうへをすつとく……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
花片はなびらいたはるよ、てふつばさづるかと、はら/\ときぬ手巾ハンケチかろはらつて、の一りん薔薇ばらくと、おもいやうにしなつて、せなぢさまに、うへへ、——さかうへへ、とほりのはし
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みな此花このはなよりうまでて、立去たちさりあへず、ひありく、ひとてふともひつべう。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これが植込うゑこみはるかにすかし、もんそとからあからさまにえた、ともなく、くだん美少年びせうねん姿すがたは、おほきてふかげ日南ひなたのこして、飜然ひらりと——二階にかいではないが——まどたかしつはひつた。ふたゝく。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みちをしたうててふないが、さそたもと色香いろかときめく。……
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)