ばち)” の例文
蜜蜂みつばち赤蜂あかばち土蜂つちばちくまばち地蜂ぢばち——木曾きそのやうなやまなかにはいろ/\なはちをかけますが、そのなかでもおほきなをつくるのはくまばち地蜂ぢばちです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ある時は何だか変だと思って、後の戸を開いて見たら、くまばちが巣をくっていた。あぶなく刺される処だったという。私は構わずほったらかして置くに限ると思った。
湯のたぎった銅壺どうこへ入れた、「交代と交代のあいのときなんです、もう半刻もすればこの十三の屋台店がくまんばちの巣みたようになっちまいます、——お武家さんは知らねえんですか」
滝口 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ばらの葉につくチューレンジばちの幼虫を駆除するに最も簡易で有効な方法を知りたいと思って、いろいろな本を物色してみたが、なるほど、多くの本にはこれに関する簡単な記載はあるが
錯覚数題 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
きざっぽく、どうしても子供のよろい、金糸銀糸。足ながばちの目さめるような派手な縞模様しまもようは、蜂の親切。とげある虫ゆえ、気を許すな。この腹の模様めがけて、撃て、撃て。すなわち動物学の警戒色。
創生記 (新字新仮名) / 太宰治(著)
たねとりばちのふところ手
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
こんなに地蜂ぢばちおほきいのですが、地蜂ぢばちおやといふものはちひさなはちで、くまばち半分はんぶんもありません。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
西の二軒長屋に「くまんばち」の吉という乱暴者がいた。女房に子供が二人。当時は日雇い労働者だったが、もとは坑夫などもしたことがあるそうで、酔って暴れだすと手がつけられなかった。
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
くまばちふる土塀どへい屋根やねしたのやうなところにおほきなをかけますが、地蜂ぢばちもそれにおとらないほどの堅固けんごなもので、三がいにも四かいにもなつてて、それがうるしはしらさゝへてあります。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)