藪知やぶし)” の例文
私は子供の時分に八幡やわた藪知やぶしらずの見世物で、型ばかりの代物しろものではありましたが、鏡の部屋を経験したことがあるのです。
鏡地獄 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「まるで八幡の藪知やぶしらずだ、到るところに計略があって踏み込んだがさいご見当がつかなくなる、戦いの時に敵を誘い込むにゃあ持って来いだ」
若殿女難記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
入谷いりやまでけて行ったんですが、恐ろしい八幡やわた藪知やぶしらずの抜け道へ入り込んで、とうとう消えっちまいましたよ」
まるで八幡やわた藪知やぶしらずへ這入はいったように、すべてが解らなくなった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「近頃なかなか流行しているんです。昔は化物屋敷とか八幡の藪知やぶしらずとか云ったようですが、この頃はお化け大会と改称して、色々新工夫をこらしているそうです」
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)