“萱草”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かんぞう37.5%
くわんざう16.7%
わすれぐさ16.7%
かや12.5%
かやくさ8.3%
くわんさう4.2%
カンゾウ4.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
夏は翡翠ひすい屏風びょうぶ光琳こうりんの筆で描いた様に、青萱あおかやまじりに萱草かんぞうあかい花が咲く。萱、葭の穂が薄紫に出ると、秋は此小川のつつみに立つ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
貢さんがのぞいたのは薄暗うすぐら陰鬱いんうつな世界で、ひやりとつめたい手で撫でる様にあたる空気がえて黴臭かびくさい。一間程前けんほどまへに竹と萱草くわんざうの葉とがまばらにえて、其奥そのおくは能く見え無かつた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
六九古郷ふるさとに捨てし人の消息せうそこをだにしらで、七〇萱草わすれぐさおひぬる野方のべに長々しき年月を過しけるは、七一まことなきおのが心なりける物を。
無花果いちじくの下に萱草かやの咲きたるは心にとまらず。ここに菊一うねありて、小菊ばかり植う。猿丸とは赤くて花の多くつく菊なり。
わが幼時の美感 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
ちとやそっとの、ぶんぶんなら、夜具の襟をかぶっても、成るべくは、蛍、萱草かやくさ、行抜けに見たい了簡りょうけん。それには持って来いの診察室。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
青田あをた畦畔くろには處々しよ/\萱草くわんさうひらいて、くさくとては村落むら少女むすめあかおびあつやさないでも、しぼんではひらいて朱杯しゆはいごと點々てん/\耕地かうちいろどるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
これは萱草カンゾウと書かねばその名にはなり得ない。ワスレグサの苗を食ってみると、根元に多少甘味があるから、それで甘草だというのでない。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)