翡翠かはせみ)” の例文
それよりも、見事みごとなのは、釣竿つりざを上下あげおろしに、もつるゝたもとひるがへそでで、翡翠かはせみむつつ、十二のつばさひるがへすやうなんです。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其他そのた全身が美しい翡翠かはせみ色をして細やかに甚だしく長い青蛇、支那人が二人掛りで容易に撲殺うちころし好んでその肉を喰ふと云ふ馬来マレイの大蛇バイソン、蝨斯ばつた科の虫で身長二寸五分ばか
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
私の窓の前の溪には瑠璃るりがいつも一羽啼いてゐる。翡翠かはせみは光のやうに飛去り、川烏は電報配達夫のやうな一直線。頬白は散髮屋の鋏のやうにせはしく、四十雀しじふからはけたたましいアイアムビツク。
闇への書 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
翡翠かはせみも世をや厭ひしのがれきてわが山の井に処定めつ
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
翡翠かはせみのやうに寂しい心をいだいてゐる人であつた。
翡翠かはせみさ めだまの赤い
春と修羅 第二集 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
河に 翡翠かはせみ
青い眼の人形 (新字新仮名) / 野口雨情(著)
なんとしたところで、まないたせれば、人間にんげんくちへいでも、翡翠かはせみねらふたら、ちよつくらもぐつてげべいさ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
見ずやかなた翡翠かはせみ
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
鴛鴦をしどり濃艷のうえんでおむつまじい、が、いたばかりで、翡翠かはせみ凄麗せいれいにして、所帶しよたい意氣いきである。たくなつた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、撫子なでしこ一束ひとたばいたが、かごつて、はたとどぶなかてると、かろ翡翠かはせみかげひるがへつてちた。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)