紙切小刀かみきりこがたな)” の例文
かたわらには幅の広いへらのような形をした、鼈甲べっこう紙切小刀かみきりこがたなが置いてある。「又何か大きな物にかじり附いているね。」こう云って秀麿の顔を見ながら、腰を卸した。
かのように (新字新仮名) / 森鴎外(著)
陳は太い眉をしかめながら、忌々いまいましそうに舌打ちをした。が、それにも関らず、くつかかとを机のふちへ当てると、ほとんど輪転椅子の上に仰向けになって、紙切小刀かみきりこがたなも使わずに封を切った。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)