笹尾ささお)” の例文
「はッ、御用に御座りまするか」と徒歩女中には口を利かせず、直ぐ駕籠あとに立った老女笹尾ささおが、結び草履の足下を小刻みに近寄った。
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
用人の笹尾ささお喜内老人が、やがて但馬守のへやへ這入って、しばらく、ひそやかに話しこんでいた。喜内の嗚咽おえつが洩れた。老人は涙の顔を、懐紙につつんで退がって来た。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
爺やとは老用人の笹尾ささお喜内で、兄弟たちには、少しも恐いところのない好人物なのである。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)