“立樹”の読み方と例文
読み方割合
たちき100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
並木なみきの松と松との間が、どんよりして、こずえが鳴る、と思うとはや大粒な雨がばらばら、立樹たちきを五本と越えないうちに、車軸を流す烈しい驟雨ゆうだち
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
風が出たとみえて、庭の立樹たちきがゴウッ——潮騒しおざいのように鳴り渡って、古い家である、頭のうえで、家棟やむね震動しんどうがむせび泣くように聞えてくる。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
けれども、遠くにある立樹たちきの色が空に包まれてだんだん黒ずんで行くにつれて、空の色も時を移さず変って行った。自分は名残なごりの光で岡田の顔を見た。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)