“甘葛”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あまずら75.0%
あまづら25.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「何かお慰みにと、初春はるくさなど探させました。甘味は干柿の粉を掻き溜めたもの。甘葛あまずらとはまた風味もかくべつ違いますので」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
尿にょうのように見えた液体は、丁子を煮出した汁であるらしく、糞のように見えた固形物は、野老ところ合薫物あわせたきもの甘葛あまずらの汁で煉り固めて、大きな筆の𣠽つかに入れて押し出したものらしいのであったが
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
五位は五六年前から芋粥いもがゆと云ふ物に、異常な執着を持つてゐる。芋粥とは山の芋を中に切込んで、それを甘葛あまづらの汁で煮た、粥の事を云ふのである。
芋粥 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
最後に、その山の芋が、一つも長筵の上に見えなくなつた時に、芋のにほひと、甘葛あまづらのにほひとを含んだ、幾道いくだうかの湯気の柱が、蓬々然ほうほうぜんとして、釜の中から、晴れた朝の空へ、舞上つて行くのを見た。
芋粥 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)