ざる)” の例文
般若の面の男 見よう見真似みまねの、からざる踊りで、はい、一向いっこうにこれ、れませぬものだでな、ちょっくらばかり面をつけて見ます了見りょうけんところ
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一つ事に迷執めいしゅうを抱き、身、別世界にある思いの左膳は、朝夕夢のこけざるを追って、流れ流れてふたたび江戸へ……。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ある博徒いわく、得手吉は得而吉で延喜えんぎがよい、くくざるというから毎々縛らるるを忌んで猴をわれらは嫌うと。
「インドざる」によく似てると、むきつけて、そうであることが、不都合きわまることのようにほんきに、彼女を罵倒ばとうし、そして恥ずかしい目にからかった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
お堂の中には、小指の先ほどのくくざるや、千代紙で折った、これも小さな折鶴おりづるつないだのが、幾つともなく天井から下っています。何を願うのでしょうか。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
しかし時代の変遷で、その我楽多もだんだんに減って来るので困ります。大師だいし達摩だるま雑司ぞうしすすき木兎みみずく亀戸かめいど浮人形うきにんぎょう、柴又のくくざるのたぐい、みんな私の見逃されないものです。
我楽多玩具 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
蘭子はからだをくくざるのように丸く縮めて、脱衣室の隅っこに小さくなったまま、じりじりと迫ってくる怪物の恐ろしい形相ぎょうそうを、まるで眼に見えぬ糸で視線をつながれでもしたように
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
この映画でいちばん笑わされるのは「めがねざる」を捕えるトリックである。揶子やしの実のからに穴をあけその中に少しの米粒を入れたのをなわで縛って、その繩の端を地中に打ち込んだくいにつないでおく。
映画雑感(Ⅲ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
こけざるは見つからぬワ、という御当家にとり危急存亡の場合、ともかく、このお庭隅に一夜づけに埋ずめました金銀を掘り出しまして、さっそくの御用にあい立てましたほうが
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
どうした、相変わらずっておるな。ところで、あの壺はにせのこけざる…にせ猿じゃったよ
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
江戸へ婿入りすることになりまして、柳生家重代じゅうだいのこけざる茶壺ちゃつぼ朝鮮渡来ちょうせんとらいみみこけざるという、これは、相阿弥そうあみ芸阿弥げいあみの編した蔵帳くらちょうにのっている、たいそう結構な天下の名器だ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
みみこけざる(発端篇)
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
耳こけざる
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)