物語ローマンス)” の例文
だれもまったく気づかなかったが、ローザはいろんなものでみずからこしらえ上げた物語ローマンスの中にばかり生きていた。
彼は好くも覚えてゐない昔の唱歌のメロデイを練習しながら物語ローマンスの主人公になつたらしい輝やかしい思ひであつた。
まぼろし (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
策士川上が貞奴の名を揚げるために種々いろいろと、世人の好奇心をひくような物語ローマンスを案出するのであろうとはいわれたが、彼女の技芸に、姿色ししょくに、魅惑されたものは多かった。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
ミンナの方は、とくに好奇心に富んでいて、物語ローマンスの主人公となるのが嬉しく、その物語ローマンスから、自尊心と感傷性とのありとあらゆる快楽を引出そうとしていた。