牡丹桜ぼたんざくら)” の例文
牡丹桜ぼたんざくらの老木が立っていた。すでに季節は過ぎていたので、枝にも梢にも一面に、花はなくて新葉が萌え出ていた。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
牡丹桜ぼたんざくらのような少年の美貌は、傍にいれば眼が放せないほど咲き溢り、共に浮き浮きさせられた。困ったことの一つの彼の暴言癖すら咲き狂った花のにぎわいと感じられぬこともない。
美少年 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
桜でも染井吉野そめいよしののように花が咲いてしまってから葉の出るような種類が開花のさきがけをして、牡丹桜ぼたんざくらのような葉といっしょに花をもつようなのが、少しおくれて咲くところを見ると
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)