うし)” の例文
うしは、おだやかなおおきなをみはって、遠方えんぽうひかりらされてあつそうな景色けしきていましたが、からすがあたまうえでこういますと
馬を殺したからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
野生やせいけものだけでも、二百六十八種にひやくろくじゆうはつしゆうしうまそのほか家畜かちく動物どうぶつ十六種じゆうろくしゆもゐますが、こゝではやま動物どうぶつについてすこしくおはなししませう。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
むさゝびからぬがきツ/\といつてむねへ、やがおよ小山こやまほどあらうと気取けどられるのがむねすほどにちかづいてて、うしいた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それで諸君が東京のうし御前ごぜってごらんなさると立派な花崗石かこうせきで伊藤博文さんが書いた「天下之糸平」という碑が建っております。
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
うしをたべてしまった椿つばきにも、はなが三つ四ついたじぶんの海蔵かいぞうさんは半田はんだまちんでいる地主じぬしいえへやっていきました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
第二十四圖だいにじゆうしずかべかゝつてゐるうしうま鹿しかなどのはかれ洞穴ほらあななか石壁いしかべりつけたり、またいたりしたうつしであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
裏戸口うらとぐちかきしたゑられた風呂ふろにはうししたしてはなめづつてやうほのほけぶりともにべろ/\とつていぶりつゝえてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それから二人は今のうしふちあたりから半蔵のほりあたりを南に向ッて歩いて行ったが、そのころはまだ、この辺は一面の高台で
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
それ故私はたゞ代官町だいくわんちやう蓮池御門はすいけごもん三宅坂下みやけざかした桜田御門さくらだごもん九段坂下くだんざかしたうしふちとう古来人の称美する場所の名を挙げるにとゞめて置く。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
人をつけさせるとよかったが、すぐ眼と鼻の先だからと思って一人で帰してやると、家へは帰らずに、今朝死骸になってうしふちに浮いていた
「いいえ、わたくしはこのうしに、百姓ひゃくしょうたちのものんでいて行くだけで、けっしてころしてべるのではありません。」
赤い玉 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
馬鹿ばかをいわッし。おいらがんで、うしかわようがあるんだ。もっともこの薬罐やかんそばはなッつけて、よくいで見ねえ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ちと異なお願いでござりまするが、てまえは今おおせのその右門、けさほどうしふちでゆゆしき変事がござりましたのでな。
先刻せんこくたきのやうに降注ふりそゝいだ雨水あめみづは、艇底ていてい一面いちめんたまつてる、隨分ずいぶん生温なまぬるい、いやあぢだが、其樣事そんなことは云つてられぬ。兩手りようてすくつて、うしのやうにんだ。
すぐ文字もじはしの字で、ゆがみ文字もじはくのでございます、れですからうし角文字つのもじといふのは貴方あなたをおたのみになつたらうでございますといふので。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
かんかん炎天えんてんにつツつて、うしがなにかかんがえごとをしてゐました。あぶがどこからかとんできて、ぶんぶんその周圍まはりをめぐつてさわいでゐました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
代助から見ると、此青年のあたまは、うし脳味噌のうみそで一杯詰つてゐるとしか考へられないのである。はなしをすると、平民のとほる大通りを半町位しかいてない。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
向島の言問ことといの手前を堤下どてしたりて、うし御前ごぜんの鳥居前を小半丁こはんちょうも行くと左手に少し引込んで黄蘗おうばくの禅寺がある。
ハナハダシキハコノ家ノ所在地ノ町名ガ、———左京区トイウヿマデハ分ルガ、吉田よしだうしみや町トイウ名ガ出テ来ナカッタ。僕ハ内心非常ナ不安ニ襲ワレタ。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
パンの破片かけら紙屑かみくづうしほねなど、さうしてさむさふるへながら、猶太語エヴレイごで、早言はやことうたふやうにしやべす、大方おほかた開店かいてんでも氣取きどりなにかを吹聽ふいちやうしてゐるのでらう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
今歳ことしのなつの避暑へきしよには伊香保いかほかんか磯部いそべにせんか、ひとおほからんはわびしかるべし、うしながら引入ひきいれる中川なかゞはのやどり手近てぢかくして心安こゝろやすところなからずやと
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
傳吉殿の妻に御つかはしあらば實に幸ひならん此度の事はお專殿せんどのはたらきにて不思議に金子手にもどことに發明なる性なれば何と與惣次殿我々かく申もいはば傳吉殿にうし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その別れに臨んで天人がいうには、もし私に逢いとうなったら、あめうし千疋せんびきを土に埋め、その上にブナ(南瓜)の種を播き、その蔓を伝うて昇って来なさいという。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
自転車が一台飛んで来て制止にかまわず突切って渡って行った。堀に沿うてうしふちまで行って道端でいこうていると前を避難者が引切りなしに通る。実に色んな人が通る。
震災日記より (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
燕師いよ/\東昌に至るに及んで、盛庸、鉄鉉うしを宰して将士をねぎらい、義をとなえ衆を励まし、東昌の府城を背にして陣し、ひそかに火器毒弩どくどつらねて、しゅくとして敵を待ったり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
毎日急ぎ足で学校へ通う道をぶらぶら歩いて、うし御前ごぜんの前を通り、常夜灯のある坂から土手へ上り、土手を下りて川縁へ出ると渡し場です。ちょうど船の出るところでした。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
だから無暗むやみと鼻をぴくぴくさしてうしこげにおいいであるく、その醜体ざまったらない!
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「わしは、うしちちをしぼってらしていますだ」と、いなか言葉で答えました。
ジェンナー伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
その少しまえ、向島で、うし御前ごぜんのまえで田代がそうしたように。——なぜならいまゝで展けていた河の光景けしき……あかるい河のうえの光景が急にそのときかれのまえに姿を消したから……
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
「お法師さま」六条のお牛場うしばのあたりを、二人は、見まわしていると、かつて、その辺の空地に寝ころんでいたまだうしや、牛のふんに群れていた青蠅あおばえのすがたは一変して、どこもかしこも
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
我住わがすむ魚沼郡うをぬまこほりは東南のいん地にして○巻機山まきはたやま苗場山なへばやま八海山はつかいさんうしたけ金城山きんじやうさんこまたけうさぎたけ浅艸山あさくさやまとう高山かうざん其余そのよ他国たこくきこえざる山々波濤はたうのごとく東南につらなり、大小の河々かは/″\縦横たてよこをなし
曳かれ来てうしろ振り向くうし一眼いちがん光る穂薄の風 (一二九頁)
文庫版『雀の卵』覚書 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それからすこし経って師匠燕枝の一座しばいで横浜へ行きましたが、このとき私が「本膳」を演ったら、その晩、年枝という兄弟子が私を万鉄といううし屋へ連れていってくれ、お前はたしかに出世をする
初看板 (新字新仮名) / 正岡容(著)
しかも筒井を迎えに行った春の渡舟に、つやのいい御車みくるまうしが一頭乗せられ、ゆっくりと船頭はをこぎながら、皆さん大声を出さないでくれ、牛が喫驚びっくりすると川にはまるから頼みますぞと呶鳴どなった。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
うしばかのほとりの桜が咲いた。隠密の苦心を認める者より、慎九郎の腕前の方が、知合いの間柄ではまさるとされた、その噂で気をいらだたせていた宮内は、桜見物に出てきても、一向面白くもなかった。
討たせてやらぬ敵討 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
それにこの伯母の家にいると、うしふちへおたまじゃくしをすくいにゆけたり、駿河台するがだいのニコライ会堂の建築場へもゆけるので、あきなかった。御飯のときにみんなが十字をきるのも私の眼を丸くさせた。
うし挽肉ひきにく 冬付録 病人の食物調理法の「第百四 牛の挽肉ひきにく
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ボスといってね、いまのうし先祖せんぞで、むかしはたくさんいたのさ
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
稻搗いなきをとめが靜歌しづうたあめなるうしはかへりゆき
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
り、西方さいはうよりはうしかと見紛みまがふばかりのおほかみ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
くびきつながれたるうしうま
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
「どうか、この荷物にもつ無事ぶじ先方せんぽうとどけてくれ。そうすればかえりにあんころもちをってやるぞ。」と、おとこは、うしにいったのであります。
ある男と牛の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かのうしはびぞんといふうしで、今日こんにちうしとはそのかたちことなつてゐますけれども、鹿しかうまかたちはなんとよく本物ほんもののようでありませんか。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「まあまあ、こんどだけはかにしてやっとくんやす。利助りすけさも、まさかうし椿つばきってしまうとはらずにつないだことだで。」
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
それ故私は唯代官町だいかんちょう蓮池御門はすいけごもん三宅坂下みやけざかした桜田御門さくらだごもん九段坂下くだんざかしたうしふち等古来人の称美する場所の名を挙げるにとどめて置く。
じやくたるもりなかふかく、もう/\とうしこゑして、ぬまともおぼしきどろなかに、らちもこはれ/″\うしやしなへるにはにさへ紫陽花あぢさゐはなさかりなり。
森の紫陽花 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
と女はいって、うしうま生々なまなましいにくってしてやりますと、おにはふうふういいながら、のこらずがつがつしてべたあと
人馬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しかしそれも依然いぜんとして金錢きんせんいくらでも餘裕よゆうのあるひとにのみ便利べんりなのであつて、貧乏びんばふ百姓ひやくしやうにはうしうま馬塞棒ませぼうさへぎられたやうなかたちでなければならぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
パンの破片かけら紙屑かみくずうしほねなど、そうしてさむさふるえながら、猶太語エヴレイごで、早言はやことうたうようにしゃべす、大方おおかた開店かいてんでもした気取きどりなにかを吹聴ふいちょうしているのであろう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
うつわらはるゝはずなんなみだ化粧つくりがはげてはどくなりうし乘換のりかへるうまきはなし内々ない/\ることならんを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)