こう)” の例文
林の上に、月はこうとして冴えていた。白影黒影、さながら魚群の泳ぐように、孫堅の行方をさがし求めている。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何の祝宴か磯辺の水楼に紅燈山形につるして絃歌湧き、沖に上ぐる花火夕闇の空に声なし。洲崎の灯影長うして江水漣漪れんい清く、電燈こうとして列車長きプラットフォームに入れば吐き出す人波。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
信濃の名物という月がその晩もこうとして中天にあった。
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)