炊爨すいさん)” の例文
わが家金富町より一番町に移りし頃久斎は病みて世を去り、その妻しんといへるもの、わが家に来りて炊爨すいさん浣滌かんできの労を取り、わづかなる給料にて老いたるしゅうとめと幼きものとを養ひぬ。
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
の男、毎日ひつじの刻よりさるの刻に到る間の日盛りは香煙を吸ふと称して何処へか姿を消しつ。そのほかは常に未明より起き出で、田畠を作り、風呂を湧かし、炊爨すいさんの事を欠かさず。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)