灯明あかり)” の例文
旧字:燈明
別荘の日本間には、どこの座敷にも灯明あかりがはいっていた。が、そこには客のすがたはなかった。噪音を辿たどって、トム公は洋館の窓から客間サロンをのぞいてみた。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、その室は夜更よふけに便所へ往来する奥じょちゅうのために灯明あかりを燭すところで、何人もいる人はないし、無論奥であるから男などの一杯機嫌でやって来て踊ると云うようなこともない。
猫の踊 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこで息を殺していると、病人の指の間に小蛇の首みたいな形のものが、弱い灯明あかりにもさんらんとしている。と七人の肉親の者たち、みんなシーンと後ずさりをし、顔を上げる者はなかった。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「げッ、——灯明あかりを、早く、灯明を」
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それが、灯明あかりの前に横たわっている。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「オヤ、灯明あかりが消えた……」
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やはり灯明あかりのない暗い中で。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)