火照ほてり)” の例文
密閉法が功を奏して、もう坑内の鎮火はよほど進んだと見え、鉄扉の前には殆んど火照ほてりがなくなっていた。
坑鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
邸内の井戸で手足を洗って、埃を落してはいるが、顔にはまだ炎天の火照ほてりが、赤くのこっている。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
内なる火照ほてりにぬくめられて
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
人びとに不気味な火照ほてりを覚えさせ、隙間に塗りたくった粘土は、薄いところから段々乾燥して色が変り、小さな無数の不規則な亀裂が守宮やもりのように裂けあがって行った。
坑鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
やがて曲ったりふくれ浮いたりしていたレールが、急にあめのようにひねくれ曲って、焼け残った鶴嘴や炭車トロの車輪がはねとばされ、空気がまだ不気味な火照ほてりを保っている発火の中心
坑鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)