この芝居はわたしも母や姉と一緒に見物したが、一番目は「満二十年息子鑑まんにじゅうねんむすこかがみ」という徴兵適齢を取扱った散髪ざんぎり物で、すこぶる面白くない物であったように記憶している。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)