湊合そうがふ)” の例文
私の前に話したのは、かくの如くにして集めた片々たる事実を、任意に湊合そうがふしたものである。伝へ誤りもあらう、聞き誤りもあらう。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
湊合そうがふがなんだ。あめしたに新しい事は決してない。ふん。己の前にあるやうな永遠が己の背後にもあるといふことは、己もたしかに知つてゐる。
数十年の前まで、一葉の扁舟さへ見難かりし太平洋は、今や万国商業の湊合そうがふする一港湾となり、横浜の埠頭ふとう桑港さうこうの金門を繋ぐ一線は、実に世界の公路となれり。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
死といふものはあらゆる方角から引つ張つてゐる糸の湊合そうがふしてゐる、この自我といふものが無くなつてしまふのだと思ふ。
妄想 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
そして丸で無意味に、「湊合そうがふは繰り返すかも知れない」とつぶやいた。
わたくしは以上の事實の斷片を湊合そうがふして、しばらしもの如くに推測した。水戸の威公若くは義公の世に、江戸の商家のむすめが水戸家に仕へて、殿樣の胤をやどして下げられた。此女の生んだ子は商人になつた。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)