淋巴腺りんぱせん)” の例文
医者はそれから、力を入れないで、力を入れないで、といいながら、岡田の手足の急所急所を熱心にみはじめた。どうやら身体じゅうの淋巴腺りんぱせんをつかんで見ているものらしい。
(新字新仮名) / 島木健作(著)
頸と腋下わきした淋巴腺りんぱせんが鈍く痛み出して、そっと触ってみると、いずれも固く腫れていて、それを知ったときには、私、立って居られなく、崩れるようにぺたりと坐ってしまいました。
皮膚と心 (新字新仮名) / 太宰治(著)
日頃肺門淋巴腺りんぱせん腫脹しゅちょうして居たことや、胃腸の弱かったこと、ヒポコンデリーの症状のあったことなどが解って、警察医も心臓麻痺という以外には、判断の下しようが無くなってしまいました。
葬送行進曲 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
おるいさんも結核で、これは肺と腸と淋巴腺りんぱせんがおかされてい、発見されたときには手のつけようがなかったといわれる。——こう書くと極めて単純なようだが、事実もまた単純そのものであった。
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)