海胆うに)” の例文
魚類ばかりでなく、海胆うに海鼠なまこ烏賊いか及びある種の虫さえも食う。薄い緑色の葉の海藻も食うが、これは乾燥してブリキの箱に入れる。
穴を覗いて行くと、よく海胆うにが一つか二つ紺紫色の姿を見せていることがある。そして稀れには栄螺さざえが同居していることもある。
真夏の日本海 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
「それはもう間違いもありません、大層おいしいから、私にも是非とすすめましたが、私は河豚と海胆うには我慢にもいけません」
海に向った方のテーブルの上では、水から出されたばかりの牡蠣の貝や海胆うにの毬が積まれていった。レモンが溶け流れた薄紅色の海気のなかを匂って来る。
旅愁 (新字新仮名) / 横光利一(著)
海胆うにのやうに棘の生えた皮の中からぜ出たあの鳶色の栗の実は栄一には一つのインスピレーシヨンであつた。
私は口に味もないはしを採りはじめる。木の芽やら海胆うにやら、松露しょうろやら、季節もののにおいが食卓のまわりに立ちめるほど、わたくしはいよいよ感傷的になった。
雛妓 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
また海胆うに塩辛しおから類の含有する回生の薬物についても科学はまだ何事をも知らないであろう。
日本人の自然観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「御塩焼は奈何いかがで御座いますか。もし何でしたら、海胆うにでも御着け遊ばしたら——」
刺繍 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
魚類のはらわたなんぞは大概刺撃性の強いものですからアラ酒といって甘鯛のアラへお酒をかけて飲むと早く酔いますし、松魚かつお塩辛しおからの事は酒盗しゅとうという位ですし、海鼠腸このわた海胆うにも酒を酔わせます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
海胆うにの卵に関するE・ルーのかの有名な実験の結果は、此の二種類の運命の概念を区別しなかった為に、誤って、却って生気論に不利な結果を示すかのように解釈されたものに過ぎなかった
現代唯物論講話 (新字新仮名) / 戸坂潤(著)
濡髪ぬれがみ長き海藻かいそうや、珊瑚、海胆うにこけまでも
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
海胆うに、ひとでの殻なぞころがつてゐる。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
路の両側には店舗がぎっしり立ち並んでいて、その多くでは貝殻、海胆うにその他海浜で集めたいろいろな物でつくった土産物を売っている。
穴を覗いて行くと、よく海胆うにが一つか二つ紺紫色の姿を見せてゐることがある。そして稀には栄螺が同居して居ることもある。
真夏の日本海 (新字旧仮名) / 中谷宇吉郎(著)
で私が大事なサミセンガイを研究している間に、彼等は貝、海胆うに、ヒトデ等をそれぞれの区分に分ける。図158は彼等が働いている所を示す。